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臨床試験にまつわる世間話

最近の製薬会社は、大量に売れる、Common Diseases(高血圧とか 高脂血症とか糖尿病と罹っている人が多い病気)に処方する薬の開発/販売に勤しんでいるようだ。 実習中でも、よく製薬会社のMR(製薬会社情報担当者;薬の宣伝をしにくる人) が先生の部屋の前にたむろしているのを見かける。 MRとしては、薬の名前を覚えてもらって、処方箋で指定してもらうのが目的だから、 薬の名前を記したグッズを大量にばらまいている。けれども、本当に その高い薬は本当にきくのかという話をここではしてみたい。

たいていの臨床試験では、死亡数がどれだけ減ったかを示す累積死亡率のグラフや 致命的になり得る疾患がおきた割合を示すグラフが示されているので、まずそれを以下にあげる。

カンデサルタン/アムロジピン カンデサルタンの臨床試験 CASE-J 結果速報より

メバロチン 冠動脈発生率 メバロチンの臨床試験 MEGA Study結果より

メバロチン 死亡率 メバロチンの臨床試験 MEGA Study結果より

アトルバスタチン アトルバスタチンの臨床試験 SPARCL Web速報より

上のグラフでは、グラフの勾配が緩やかなほど死亡/死亡につながる病気の発生が減っていることを 示す。だから、製薬会社としてはグラフが水平にちかいほどうれしいということになる。 ところで、p=*という表示は、大雑把に言えば、 それだけの確率でこのグラフが間違いであるという可能性があるということで、p値が 大きいほど統計の結果から導いた結論の信ぴょう性は下がる。一般に0.05(5%)以下 が望ましいとされている。

けれど、そんなことより、どのグラフにも見える共通点がある。それは、 最後の方で、突然対照群に比べて成績が良くなる、つまり、データが操作されているようにみえる ということだ。カンデサルタンの場合では、40カ月のあたりで突然死亡率が上昇しなくなっている。 メバロチンの場合では、5年あたりからイベントが発生しなくなっている。 アトルバスタチンの場合、終了半年前になって突然イベントが発生しなくなっている。 普通に考えれば、このような現象はおかしい筈で、おそらく裏で様々な取り引きが行なわれた結果 だと考えるのが妥当ではないだろうか。

最近行なわれている臨床試験で使われる新薬は、どれもグラム当たり 数千円する大変高価な薬であり、売れれば大変な利益になる。だから、 どうあっても、あまり効果は今までの薬と変わらないなんてことは絶対に出されては困る情報なのだ。 三共がメバロチンでおおもうけしたことはよく知られているが、本当にどのような人にきくのかは闇の中だろう。

以上のような臨床試験があるならまだしも、ツムラやカネボウみたいなところの、 臨床試験がまだされていないのに保険適用されている漢方薬はなおさらである。

毎年かなりの額の医療費を飲みこむ製薬会社の出している薬の効果は、 最近EBMという言葉で科学的に示されるようになってきているが、 医療費の問題を考える上でもう一度見直した方がいいかもしれない分野であるかもしれない。

Chuck Norris doesn't make mistakes. (Su-Shee)

He corrects God. (Shlomi Fish)

    -- Su-Shee and Shlomi Fish
    -- Chuck 
                      Norris Facts by Shlomi Fish and Friends ( http://www.shlomifish.org/humour/bits/facts/Chuck-Norris/ )

FORTUNE PROVIDES QUESTIONS FOR THE GREAT ANSWERS: #15
A:	The Royal Canadian Mounted Police.
Q:	What was the greatest achievement in taxidermy?


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