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メニエール病におけるc-VEMP/o-VEMPの周波数依存応答の変化について

Otology & Neurotology 33:444-449, 2012

Altered frequency dynamics of cervical and ocular vestibular evoked myogenic potentials in patients with Ménière's disease.

Sandhu JS, Low R, Rea PA, Saunders NC.
Leicester Medical School, University of Leicester, UK. jassandhu@nhs.net

目的 メニエール病におけるc-VEMP/o-VEMPの周波数応答の変化を計測
研究デザイン 前向きコホート研究 場所 付属病院
対象 8人の正常被検者(16耳)と、AAO-HNSの診断基準により診断した12人の片側メニエール病(8人はdefinite、4人はprobable)の成人患者。
方法 両方のグループに対し、250Hz, 500Hz, 750Hz, 1kHz, 1.5kHz, 2kHz, 3kHz, 4kHzのトーンバーストによるc-VEMP/o-VEMPを計測した。
計測結果 c-VEMP/o-VEMPそれぞれでの周波数に応じた筋電図の感度を、健常人またはメニエール病の患者の患側・非患側でp13-n23とn10により評価した。
結果 c-VEMP/o-VEMPは対象者すべての耳で認められた。健常人では、最大の反応を得た周波数は500Hzであった。メニエール病の患者では、 c-VEMP/o-VEMP両方において、最大の反応を得た周波数は高い方にシフトし、o-VEMPではより明確に認められた。 この変化は、probableの診断の群ではあまり見られず、非患側耳では変化が見られなかった。
結論 メニエール病の耳では、c-VEMP/o-VEMP両方で変化が見られ、後者では変化が顕著であった。メニエール病では、耳石器に影響が出るが、 卵形嚢により強い影響が及ぶと考えられる。優位に影響される原因としては、卵形嚢の解剖学的な形態によるものが考えられる。

c-VEMPは、SCMを収縮した状態で同側に強大音刺激を加えると現れる抑制反応であり、前庭蝸牛反射の一部であるとされている。 球形嚢に始まり、下前庭神経から前庭神経核に至り、前庭脊髄路を通って同側SCMに達する経路とされており、 約20年前にColebatchらによって発見されて以来、多くの研究がされてきたが、これからも電気生理学的知見からの臨床応用には発展の余地がある。
メニエール病の診断・治療において、c-VEMPは比較的有効に利用できることが分かっており、初期の研究では、メニエール病の患者のうち、 35%~54%ではc-VEMPが認められなかったと述べられている。また、反応の振幅はメニエール病のステージによって異なり、 早期のステージではより高い振幅が観察される。これらの現象は、病気の進行に伴って生じる球形嚢の拡大による物理的特性の変化によるものと思われる。 メニエール病において、最大振幅を得る周波数が通常の500Hz~1kHzから高域にシフトする現象は、Rauchらによって初めて研究された。 後にNodeらによっても確かめられ、メニエール病の診断の一助となっている。
最近になり、o-VEMPが前庭機能の新たな評価方法として注目されるようになってきた。刺激方法はc-VEMPと同じであるが、 c-VEMPでは同側のSCMを計測するのに対し、o-VEMPでは対側の眼球下の外眼筋で計測する。
o-VEMPの研究はまだ黎明期であるが、動物・人間での研究により、反射は卵形嚢に始まり、視覚視神経反射を通じて対側下斜筋に至ると考えられている。 この計測方法が若干特殊であることもあって、臨床的にはあまり応用されてこなかった。しかし、骨導による刺激を使った場合、 メニエール病やsuperior canal dehiscence (SCDS: 上半規管の骨迷路の一部が欠損しているため、 音刺激や頭蓋内圧亢進などで内リンパ流が生じてめまい発作をきたす疾患) において、それぞれの周波数における振幅が変化するのに対し、 健常人ではo-VEMPとc-VEMPの応答はほぼ一致していることが分かった。また、最近、メニエール病において、 ピーク振幅を得る周波数がシフトすることが分かった。けれども、刺激に利用できる周波数の上限は1kHz程度であり、 健常人・メニエール病患者での、より広域の周波数での応答についてのさらなる研究が必要である。

これまでの研究で述べられてきたように、c-VEMPにおける周波数毎の振幅については同様の結果が得られ、健常人では500Hzにピークが認められた。 o-VEMPについては、従来はあまりデータが取られてこなかったが、Parkらによる研究と同様に、気導刺激においては500Hzにピークが認められた。 VEMPの生じる正確な機序についてはまだ分かっていないことが多いが、おそらく、 耳石器において音響エネルギーが神経活動に変換される際に生じる何らかの変化が関係していると思われる。 また、反射に関わる神経伝導路での変化も何らかの影響を及ぼしている可能性がある。
メニエール病患者におけるc-VEMPは、最大振幅を得る周波数が健常人と比べて全体的に500Hz~1kHz程度シフトしており、 この差は優位なものであり、これまでの研究と同様の結果であった。
周波数のシフトの原因としては、内リンパ水腫によって球形嚢が拡大したり、膜面が薄くなったり、内部の圧力が変化したりすることによって、 前庭での物理学的特性が何らかの形で変化する説がある。
メニエール病のVEMP計測により、o-VEMPでは、c-VEMPに比べ、より大きな変化が認められ、750Hzから2.5kHzで最も大きかった。 この違いは、球形嚢と卵形嚢の形態学的な違いから来ていると考えられている。最近の研究では、卵形嚢は球形嚢と違って側頭骨に強固には固定されておらず、 結合組織を介して膜迷路内でゆるく結合しているということがわかってきた。さらに、メニエール病の患者の側頭骨の研究では、 球形嚢に比べ、卵形嚢はあまりサイズが増加しないという事が分かってきた。これらの違いを考慮すると、c-VEMPとo-VEMPとで、 メニエール病における周波数応答の違いが生じるのも理解できる。
これらのc-VEMPやo-VEMPでの周波数による応答振幅の違いを利用して、メニエール病における診断・治療での有効な活用を広げ、 内耳器官の理解につなげていく事ができると思われる。

"How could we possibly use sex to get
what we want? Sex IS what we want!" Fraser

	-- One of Nadav Har'El's Email Signatures.

 <rindolf>  How can I best install Subversion on a Debian Stable system?
  <breser>  rindolf: Presumably with apt.
 <rindolf>  breser: subversion is not present in Debian Stable, and
            installing it from testing or unstable may require upgrading
            half if not more of the system.
 <rindolf>  And I know what apt is.
         *  rindolf kicks breser so he won't give obvious but useless
            answers like Microsoft support persons.
         *  breser kicks rindolf so he won't ask vague questions that
            result in obvious but useless responses when he already knows
            the obvious but usless response is the obvious response to
            give.
         *  rindolf kicks breser for no reason at all.

    -- #svn, Freenode


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