付録:知っておくべき抗菌薬

 

 今までに説明してきたもので重要なものだけを簡単にまとめました。

 

商品名

一般名

略号

主な目的菌

主な副作用

参考投与量(※)

ペニシリン系

 

 

 

 

 

バイシリンG(経口)

ペニシリンG

PCG

連鎖球菌、口腔内嫌気性菌、梅毒

アレルギー、腎障害、肝障害

160万単位/日 4×

毎食前、眠前

結晶ペニシリンGカリウム(点滴)

ペニシリンG

PCG

連鎖球菌、口腔内嫌気性菌、梅毒

アレルギー、腎障害、肝障害

300400万単位/

46時間ごと

サワシリン(経口)

アモキシシリン

AMPC

連鎖球菌、口腔内嫌気性菌、腸球菌、感受性のあるグラム陰性桿菌

アレルギー、腎障害、肝障害

1000mg4C/日 4×

毎食前、眠前

ビクシリン(点滴)

アンピシリン

ABPC

連鎖球菌、口腔内嫌気性菌、腸球菌、感受性のあるグラム陰性桿菌

アレルギー、腎障害、肝障害

12g/回 46時間ごと

オーグメンチン(経口)

アモキシシリン/クラブラン酸

AMPC/CVA

グラム陽性菌、グラム陰性桿菌、嫌気性菌

アレルギー、腎障害、肝障害、下痢

375mgカプセル

4C4× 毎食前、眠前

ユナシン(点滴)

アンピシリン/スルバクタム

ABPC/SBT

グラム陽性菌、グラム陰性桿菌、嫌気性菌

アレルギー、腎障害、肝障害

1.5g/日 6時間ごと

上記に加え、

ベネシッド4T4×

ペントシリン(点滴)

ピペラシリン

PIPC

緑膿菌を含むグラム陰性桿菌

アレルギー、腎障害、肝障害

2g 6時間ごと

上記に加え、

ベネシッド4T4×

タゾシン(点滴)

ピペラシリン/タゾバクタム

PIPC/TAZ

グラム陽性菌、緑膿菌を含むグラム陰性菌、嫌気性菌

アレルギー、腎障害、肝障害

3.375g/回 6時間ごと

我が国で保険適応となる1.125g/回 6時間ごとに加えベネシッド4T4×では効果が低い可能性あり。

1世代セフェム

 

 

 

 

 

ケフラール(経口)

セファクロル

CCL

グラム陽性球菌、感受性のあるグラム陰性桿菌

腎障害、肝障害

250mg

3C3× 毎食前

セファメジン(点滴)

セファゾリン

CEZ

グラム陽性球菌、感受性のあるグラム陰性桿菌

腎障害、肝障害

0.25g1.5g/回 

68時間ごと

(保険適応5g/日まで)

2世代セフェム

 

 

 

 

 

オラセフ(経口)

セフロキシム

CXM

グラム陽性球菌、感受性のあるグラム陰性桿菌

腎障害、肝障害

250mg

3T3× 毎食前

パンスポリン(点滴)

セフォチアム

CTM

グラム陽性球菌、感受性のあるグラム陰性桿菌

腎障害、肝障害

1g/回 68時間ごと

3世代セフェム

 

 

 

 

 

セフォタックス(点滴)

セフォタキシム

CTX

肺炎球菌、グラム陰性桿菌

腎障害、肝障害

1g 68時間ごと

ロセフィン(点滴)

セフトリアキソン

CTRX

肺炎球菌、グラム陰性桿菌

腎障害、肝障害

2g 24時間ごと

(高齢:1g24時間ごと)

モダシン(点滴)

セフタジジム

CAZ

緑膿菌を含むグラム陰性桿菌

腎障害、肝障害

1g 68時間ごと

 

4世代セフェム

 

 

 

 

 

マキシピーム(点滴)

セフェピーム

CFPM

グラム陽性球菌、緑膿菌を含むグラム陰性桿菌

腎障害、肝障害

12g 12時間ごと

セファマイシン

 

 

 

 

 

セフメタゾン(点滴)

セフメタゾール

CMT

グラム陰性桿菌、嫌気性菌

腎障害、肝障害

1g 68時間ごと

カルバペネム

 

 

 

 

 

カルベニン(点滴)

パニペネム/ベタミプロン

PAPM/BP

グラム陽性球菌、緑膿菌を含むグラム陰性桿菌、嫌気性菌

腎障害、肝障害、痙攣

0.5g 68時間ごと

チエナム(点滴)

イミペネム/シラスタチン

IPM/CS

グラム陽性球菌、緑膿菌を含むグラム陰性桿菌、嫌気性菌

腎障害、肝障害、痙攣

0.5g 68時間ごと

メロペン(点滴)

メロペネム

MEPM

グラム陽性球菌、緑膿菌を含むグラム陰性桿菌、嫌気性菌

腎障害、肝障害、痙攣

0.5g 68時間ごと

アズトレオナム

 

 

 

 

 

アザクタム(点滴)

アズトレオナム

AZT

緑膿菌を含むグラム陰性桿菌

腎障害、肝障害

1g 68時間ごと

キノロン系

 

 

 

 

 

シプロキサン(経口)

シプロフロキサシン

CPFX

グラム陽性球菌、緑膿菌を含むグラム陰性桿菌、異型肺炎起因菌

腎障害、肝障害、神経症状

4001400mg 分2

朝夕食前

我が国では600mg/日まで保険適応

シプロキサシン(点滴)

シプロフロキサシン

CPFX

グラム陽性球菌、緑膿菌を含むグラム陰性桿菌、異型肺炎起因菌

腎障害、肝障害、神経症状

350mg/回 12時間ごと

クラビット(経口)

レボフロキサシン

LVFX

肺炎球菌、グラム陽性球菌、緑膿菌を含むグラム陰性桿菌、異型肺炎起因菌

腎障害、肝障害、神経症状

200500mg/

12 食前

我が国では400mgまで保険適応

ガチフロ(経口)

ガチフロキサシン

GFLX

肺炎球菌、グラム陽性球菌、緑膿菌を含むグラム陰性桿菌、異型肺炎起因菌、嫌気性菌

腎障害、肝障害、神経症状

200400mg/

12 食前

パズクロス(点滴)

パズフロキサシン

PFLX

肺炎球菌、グラム陽性球菌、緑膿菌を含むグラム陰性桿菌、異型肺炎起因菌

腎障害、肝障害、神経症状

300500mg/

12時間ごと

 

アミノグリコシド系

 

 

 

 

 

ゲンタシン(点滴)

ゲンタマイシン

GM

緑膿菌を含むグラム陰性桿菌

腎障害、耳障害

<MDD>*

初回量・・・2mg/kg

維持量・・・1.7mg/kg   8時間ごと

ピーク値・・・4〜10μg/ml  

トラフ値・・・1〜2μg/ml

<OD>*

初回量・維持量・・・5.1mg/kg(瀕死状態では7mg/kg)  24時間ごと

トラフ値・・・<1μg/ml 

トブラシン(点滴)

トブラマイシン

TOB

緑膿菌を含むグラム陰性桿菌

腎障害、耳障害

アミカシン(点滴)

アミカシン

AMK

緑膿菌を含むグラム陰性桿菌、抗酸菌

腎障害、耳障害

<MDD> 

初回量・・・7.5mg/kg

維持量・・・7.5mg/kg   12時間ごと

ピーク値15〜30μg/ml  

トラフ値5〜10μg/ml

<OD>  

初回量・維持量15mg/kg  24時間ごと

トラフ値・・・<1μg/ml 

マクロライド系

 

 

 

 

               

エリスロシン(経口)

エリスロマイシン

EM

クラミジア、キャンピロバクター

消化器症状、肝障害、不整脈

800〜1200mg/日 

分4〜6  毎食後眠前

エリスロシン(点滴)

エリスロマイシン

EM

クラミジア、キャンピロバクター

消化器症状、肝障害、不整脈

15〜20mg/kg/日 

最大4g 1〜2回に分割

クラリス(経口)

クラリスロマイシン

CAM

異型肺炎起因菌、インフルエンザ桿菌、非定型抗酸菌

消化器症状、肝障害、不整脈

200mg錠

2T2× 朝夕食後

ジスロマック(経口)

アジスロマイシン

AZM

異型肺炎起因菌、非定型抗酸菌、クラミジア

消化器症状、肝障害、不整脈

通常使用:250mg錠

初日2T、2日目以降1Tを分1で3〜5日間

STD(クラミジア):250mg錠 4錠1回のみ

リンコマイシン

 

 

 

 

 

ダラシン(経口)

クリンダマイシン

CLDM

グラム陽性球菌、嫌気性菌

肝障害、不整脈、偽膜性腸炎

150mg錠 

3〜6T 分4

毎食後眠前      

ダラシン(点滴)

クリンダマイシン

CLDM

グラム陽性球菌、嫌気性菌

肝障害、不整脈、偽膜性腸炎

600〜800mg/回 

8時間ごと  

テトラサイクリン系

 

 

 

 

 

ビブラマイシン(経口)

ドキシサイクリン

DOXY

感受性次第だが、殆どの原因菌をカバー

消化器症状、光線過敏症、頭痛、腎障害、肝障害

100mg錠 

2T2× 朝夕食後

ミノマイシン(経口)

ミノサイクリン

MINO

感受性次第だが、殆どの原因菌をカバー

消化器症状、光線過敏症、頭痛、腎障害、肝障害

100mg錠

2T1〜2× 食後

ミノマイシン(点滴)

ミノサイクリン

MINO

感受性次第だが、殆どの原因菌をカバー

消化器症状、光線過敏症、頭痛、腎障害、肝障害

200mg/回 

12〜24時間ごと

 

その他の抗菌薬

 

 

 

 

 

バクタ(経口)

スルファメトキサゾール/トリメトプリム

SMX/TMP

特殊なスペクトラムのため本文参照

皮疹、骨髄抑制、無菌性髄膜炎

(SMX400mg/TMP80mg、顆粒は1gが1錠に相当) 4T 分2  朝夕食前

 

バクトラミン(点滴)

スルファメトキサゾール/トリメトプリム

SMX/TMP

特殊なスペクトラムのため本文参照

皮疹、骨髄抑制、無菌性髄膜炎

(SMX400/TMP80mg/A)TMP計算で

8〜10mg/kg/日 

6〜12時間ごとに分割

塩酸バンコマイシン(点滴)

バンコマイシン

VCM

グラム陽性球菌

腎障害、耳障害、骨髄抑制

15mg/kg 12時間ごと 

トラフ値:5-10μg/ml

フラジール(経口)

メトロニダゾール

 

嫌気性菌、ジアルジア、トリコモナス、アメーバ

肝障害、消化器症状、神経症状

250mg錠

6〜8T 3〜4× 

毎食前眠前

膣炎2T2×

ジアルジア症 3T3×

抗真菌薬

 

 

 

 

 

ファンギゾン(経口)

アンホテリシンB

AMPH-B

殆どの病原性真菌

腎障害、肝障害

100mg錠 

2〜4錠 分2〜4 

口腔内で溶かして使用。

ファンギゾン(点滴)

アンホテリシンB

AMPH-B

殆どの病原性真菌

腎障害、肝障害

深在性カンジダ症、カンジダ血症:0.5mg/kg/日

侵襲性アスペルギルス症、ムコール症:1.0〜1.5mg/kg/日

クリプトコッカス症:0.4mg/kg/日

ジフルカン(経口)

フルコナゾール

FLCZ

カンジダ、クリプトコッカス

腎障害、肝障害

カンジダ血症(白血球減少症のない場合):200〜600mg/日 (我が国では400mg/日まで適応)

カンジダ食道炎、胃炎、腹膜炎: 初回200〜400mg/日、以後50〜200mg/日

カンジダ尿路感染症: 初回200mg/日、以後100〜200mg/日 5〜10日間

カンジダ眼内炎:100〜400mg/日 1〜4ヶ月

カンジダ膣炎:100mg 1回投与

クリプトコッカス髄膜炎: 400mg/日

ジフルカン(点滴)

プロジフ(点滴)

フルコナゾール

FLCZ

カンジダ、クリプトコッカス

腎障害、肝障害

イトリゾール(経口)

イトラコナゾール

ITCZ

カンジダ、クリプトコッカス、アスペルギルス、皮膚糸状菌

腎障害、肝障害

200〜400mg/日 

1〜2× 毎食後 

我が国では200mg/日まで保険適応

ファンガード(点滴)

ミカファンギン

MCFG

カンジダ、アスペルギルス

腎障害、肝障害

50〜300mg/日 1日1回

 

※投与量のうち*がついているものは我が国の保険適応を超えている。