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好酸球性肺疾患

好酸球性肺疾患は,肺胞腔または間質もしくはその両方に好酸球が集積することを特徴とする一群の疾患である。末梢血好酸球増加もよくみられる。 好酸球性肺疾患の既知の原因には,感染症(特に寄生虫感染),薬物誘発性肺炎(例,抗生物質,フェニトイン,l-トリプトファン), 吸入毒素(例,コカイン),全身性疾患(例,チャーグ-ストラウス)およびアレルギー性気管支肺アスペルギルス症があるが,しばしば原因は不明である。
・診断は,胸部X線上の陰影の証明,および末梢血,気管支肺胞洗浄液または肺生検組織における好酸球増加(450/μLを超える)の確認に基づく。 血中好酸球増加を伴う胸部X線上の肺陰影は,ときにPIE(肺好酸球浸潤)症候群と呼ばれる。
好酸球は主に組織内に滞留し,また血液よりも組織内で数百倍多い。したがって,血中好酸球数が,必ずしも患部組織における好酸球浸潤の程度を示すとは限らない。 好酸球は,気道,消化管および下部尿生殖管のように,外部環境と接する粘膜上皮を有する組織でおびただしい。好酸球は健常人の肺では認められないので, 組織または気管支肺胞洗浄における好酸球の存在(白血球数の5%を超える)は,病理学的変化と同定される。 肺好酸球増加症は末梢の好酸球増加症がなくても起こることがある。
好酸球はコルチコステロイドに対して非常に感度が高く,コルチコステロイドの投与後2~3時間以内に血流から完全に消失する。 この血液からの急速な消失が,診断評価を始める前にコルチコステロイドを投与された患者において,診断を不明瞭にすることがある。

慢性好酸球性肺炎

慢性好酸球性肺炎は,肺における好酸球の異常な慢性的集積である。
慢性好酸球性肺炎(CEP)の有病率および発生率は分かっていない。病因はアレルギー体質であると思われる。ほとんどの患者は非喫煙者である。

症状,徴候,診断

患者は咳,発熱,進行性の息切れ,体重減少,喘鳴および寝汗を特徴とする劇症の疾患をしばしば呈する。喘息は症例の50%以上で疾患に随伴するか, または先行する。
診断は感染性の原因の除外を必要とし,また臨床症状,血液検査および胸部X線に基づく。末梢血好酸球増加,非常に高いESR,鉄欠乏性貧血および血小板増加症は, 全て頻繁に認められる。中肺野および上肺野領域において最も多くみられる,両側性末梢性陰影または胸膜に基づいた陰影(症例の約60%に現れる) の胸部X線所見は,肺水腫の“ネガ像”と称され,(みられるのは患者の25%未満であるが)病理学的特徴を反映している。 同様のパターンはほぼ全ての症例においてCT上で確認される。気管支肺胞洗浄中の好酸球が40%を超える好酸球増加症は, CEPを示唆する;連続の気管支肺胞洗浄検査が疾患の経過を証明するのに役立つこともある。生検は,多核巨細胞を含む間質および肺胞の好酸球と組織球, および器質化肺炎を伴う閉塞性細気管支炎を示す。線維化はごくわずかである。

治療

CEP患者は,一様に静注または経口のコルチコステロイドに反応する;反応しなければ別の診断が示唆される。初期治療はプレドニゾン40~60mg, 1日1回である。臨床的改善はしばしば顕著で急速であり,しばしば48時間以内に起こる。症状およびX線異常の完全な消失は,14日以内にほとんどの患者で, 1カ月までにはほぼ全患者で起こる。症状および胸部単純X線は,信頼性があり,治療の有効な指標である。 CTスキャンは放射線学的異常の検出に対してより感度が高いが,繰り返し実施することは有益ではない。末梢好酸球数,ESRおよびIgE値もまた, 治療中の臨床経過の追跡に使用できる。しかしながら,必ずしも全ての患者に臨床検査での異常な結果があるとは限らない。
治療中止後,または頻度は少ないが,コルチコステロイド用量の漸減中に,症例の50~80%で,症状または放射線学的再発が起こる。 最初の症状発現後,数カ月から数年後に再発が起こりうる。したがって,コルチコステロイド療法はときに無期限に続けられる。 吸入コルチコステロイド(例,フルチカゾンまたはベクロメタゾン5000750μg,1日2回)は, 特に経口コルチコステロイド維持量を減少させる場合に効果的なようである。
CEPはときに生理学的に重要な不可逆性の線維症に至るが,死亡は非常に珍しい。再発は治療の失敗,予後不良, またはより高い罹患率を示唆するわけではないようである。患者は再発前と同様のコルチコステロイドに依然として反応する。 回復した患者には気道閉塞が定着する場合もあるが,その異常は,臨床上有意か有意でないかが通常はっきりしない。

急性好酸球性肺炎

急性好酸球性肺炎は,肺間質の急速な好酸球浸潤を特徴とする。
急性好酸球性肺炎(AEP)の発生率および有病率は分かっていない。AEPはあらゆる年齢で発生しうるが,しばしば20~40歳の患者に生じ, 男女比は21:1である。原因は分かっていないが,AEPはその他の点では健康な人における未確認の吸入抗原に対する急性の過敏性反応かもしれない。 タバコまたは他の煙への暴露も関係しうる。

症状と徴候

AEPは短期間(通常7日間未満)の急性発熱性疾患を引き起こす。症状は,乾性咳,呼吸困難,倦怠感,筋肉痛,寝汗および胸膜性胸痛である。 徴候は,頻呼吸,発熱(しばしば38.5°Cを超える),および両側肺底部の吸気性断続性ラ音,またときに努力呼気時のいびき音を含む。 AEPはしばしば機械的人工換気を必要とする急性呼吸不全として現れる。まれに,過循環性ショックが起こり得る。

診断

診断は,臨床症状および日常的な検査による所見に基づき,気管支鏡検査で確定する。AEPは除外診断であり, 好酸球性肺炎および呼吸不全の既知の原因を除外する必要がある。ほとんどの患者において,CBCは著明に上昇した好酸球数を示す。 ESRおよびIgE値は高いが,非特異的である。
胸部X線は初期には微妙な網状影またはすりガラス様弱陰影のみを示すことがあり,しばしばカーリーBラインを伴う。 孤立性の肺胞陰影(症例の約25%)または網状陰影(症例の約25%)も,初診時に認められることがある。そのパターンは, 慢性好酸球性肺炎で認められる(肺末梢に限局する)陰影とは似ていない。患者の3分の2で少量の胸水が生じ,しばしば両側性である。 高解像度CTの所見は常に異常で,両側の不規則な斑状のすりガラス様または網状の陰影を伴う。胸水検査は,著明な好酸球増加症と高いpHを示す。 肺機能検査は,一酸化炭素拡散能(DLco)の低下を伴う拘束性の過程をしばしば示す。
洗浄およびときとして生検のために,気管支鏡検査を施行すべきである。気管支肺胞洗浄液は, しばしば好酸球数の多さおよび高いパーセンテージ(25%を超える)を示す。生検で最も多くみられる組織病理学的特徴には, 急性の器質化びまん性肺胞障害を伴う好酸球浸潤があるが,肺生検を受けた症例はほとんどない。

治療と予後

自然に回復する患者もいる。ほとんどは,プレドニゾン40060mg,経口で1日1回によって治療される。呼吸不全の場合には, メチルプレドニゾロン60~125mg,6時間毎が望ましい。予後は非常によい; ほとんど例外なくコルチコステロイドに対する反応性および再発を伴わない完全な回復が得られる。胸水は実質の陰影よりもゆっくりと消散する。

レフラー症候群

レフラー症候群は,全くないかあっても軽度の呼吸器症状,短時間の移動性肺陰影および末梢血好酸球増加を特徴とする。 寄生虫感染(特に回虫 )が原因のこともあるが,患者の最大3分の1で同定可能な病原体が認められない。この疾患は通常1カ月以内に消散する。

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