<Quetzalcoatl_>  How do I write a computer vision program in C on a
                  microcontroller?
           <dyf>  Quetzalcoatl_: with a text editor?
 <Quetzalcoatl_>  Hmm.. Never thought of that. But which editor? Is
                  Notepad good enough?
         <mauke>  no, you need at least Wordpad
       <rindolf>  mauke: I suggest MS Word or at least OpenOffice.org
       <rindolf>  mauke: but in order to really be able to write well, you
                  need a desktop publishing program like Scribus or Adobe
                  FrameMaker.
               *  rindolf wonders which compiler will accept PDFs as
                  input.
       <waiting>  rindolf: /usr/bin/pdftotext
       <rindolf>  waiting: and pray.
       <rindolf>  There's an estoric programming language called Piet (I
                  think) that accepts images as input.

    -- How to write stylistic code
    -- ##programming, Freenode

When you read what the founding fathers had to say for themselves, they sound
more like hackers. "The spirit of resistance to government," Jefferson wrote,
"is so valuable on certain occasions, that I wish it always to be kept alive."

Imagine an American president saying that today. Like the remarks of an
outspoken old grandmother, the sayings of the founding fathers have
embarrassed generations of their less confident successors. They remind us
where we come from. They remind us that it is the people who break rules that
are the source of America's wealth and power.

Those in a position to impose rules naturally want them to be obeyed. But be
careful what you ask for. You might get it.

    -- Paul Graham
    -- The Word "Hacker" ( http://www.paulgraham.com/gba.html )


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   「安全安価でおいしい水〜生物浄化法」講演会
 
 後志は良質な天然水の宝庫であり、管内には観光資源として有効利用している自治体もあ
ります。今、地方自治体は行財政コスト削減で壊れにくいもの、手間が掛らないものが求め
られています。生物浄化法は施設面積の効率も良く、水質も良く、維持管理も楽で、水道料
金が安くなるシステムで浪費なき経済発展のための手段となります。また何かと「グローバ
ル・スタンダード」と言われますが、水の世界基準と日本の現状はどうなっているのでしょ
うか。何故、後志は良質な天然水の宝庫でいられたのか。これから何が必要になるのか。
 講演会を通して自治体財政の課題も含めて考えてみます。
 
1 日 時 2006年7月31日(月)15:00〜17:00
2 場 所 後志保健福祉事務所(倶知安保健所)会議室(後志合同庁舎1階)
3 内 容 「安全安価でおいしい水〜生物浄化法」
 講師 信州大学繊維学部応用生物科学科 教授 中本信忠
 
 
 今回お話をしていただいたのは、信州大学繊維学部応用生物科学科教授
中本 信忠 様です。 2004年2月8日(日)にも来ていただいています。
 
 
   講演内容 ( 聞き取りメモです )
 
 浄水場では原水に生物毒が入っていないかを魚で監視しています。でも、浄水場から給水
される水道水では、魚は死にます。この水を私たちは飲んでいます。
 緩速ろ過という方法で、安全でおいしい水道水が作れます。
 この方法の最大の特徴は、あらゆる毒素を、微生物の力を借りて分解し浄化しようとする
ことにあります。バクテリアなどの微生物の中には、人間が作り出した自然界にとって有害
な化学物質まで分解します。緩速ろ過ではほとんどの有害物質や細菌を、薬品を使うこと
なく分解し自然に還します。塩素殺菌では除去できなかったクリプトスポリジウムも、ほぼ
100%除去できます。そして急速ろ過に比べ費用が著しく安いのです。
 
 仕組みはこうです。ろ過池に敷き詰められた砂礫の上に糸状の藻類が繁殖します。
濁り物質は藻類被膜に捕捉されます。除かれなかった汚濁物質は、砂層のわずか数センチの
間で活躍しているバクテリアなどの微生物や、微小動物によって分解されます。
残った汚濁もこの表層の生物群に取り込まれ、分解されます。水の流れは、生物のこうした
活動に無理のない速さが必要です。
 生物が活躍するから汚濁物質は分解されます。さらに深い砂礫層では、微生物はエサが
なくなるので、生物が住むことができなくなる。そしてきれいな水が誕生する。
 しかも繁茂する珪藻や緑藻は大量の酸素を放出します。この放出は光合成が行われなく
なった夜間も見かけ上は続きます。微生物の呼吸に利用する酸素よりも、昼間生成した
酸素濃度がはるかに高いためです。繁茂した珪藻類はユスリカなど水生動物に捕食され、
そのユスリカをえさにする肉食の水生動物や鳥が集まります。繁茂した藻類は酸素などの
気体と一緒に浮き上がり、越流口からろ過池の外に流れ出します。
 外観は汚らしいがこれが自然の浄化の主役です。役目を終わった藻類は肥料や飼料として
利用できます。緑藻は細胞膜が硬く多くの水生動物はえさとすることができませんが、タニ
シやシジミなどの貝類はこれを食べます。水のほかにもここで生成されたあらゆるものが
自然と循環します。
 
 緩速ろ過と言われますが、実態は名前どおりのゆっくりとした浄化ではなく、砂の間
のあらゆる微生物や生物群集が瞬間的に浄化しています。ですから、「生物浄化法」と
名前を改名しないと誤解したイメージを持ってしまいます。
 
 太平洋戦争後、今も日本の水道基準は米軍野戦基準のままです(塩素添加の根拠)。
 今日も京極のふきだし公園でたくさんの人が水を汲んでいました。生物浄化法ならどんな
汚い水でも「京極の水」のような水道水を簡単に作れます。技術は確立しているのにそう
ならないで、京極に水を汲みにたくさんの人が来ているのは、水道水をあきらめて、水道局
に苦情・文句を言わない人がたくさんいるということです。
 
 生物浄化法は自然の湧き水、河原での湧水(伏流水)を人工的に作る方法です。おいしい
水を飲みたかったら、あきらめないで声を出していくことが大切です。
 
 求められているのは、基準の水ではなく安心できるおいしい水です。
浄水場では、水質センサーとして金魚を飼っています。死ねば危険な水質として給水を止め
ます。ですから、浄水場では金魚は生きています。しかし、浄水場から供給している各家庭
に届く水道水をすぐに使うと金魚が死にます。おかしいと思いませんか。塩素添加によって
毒の入った水を供給しているのではないかということです。金魚が死ぬ水は健康に良いわけ
はありません。
 また、ペットボトルで水が1リットル200円で売られています。外国から原油を輸入し
精製したガソリンが、今1リットル140円位で売られています。ガソリンよりペットボト
ルの水が高いのです。おかしいと思いませんか。
 「おかしい」と声を出さないと、安くて、安全で、おいしい水道水は飲めません。
 
 日本は和食の文化です。素材の味を生かします。良い水が豊富だからです。日本は生水を
飲む習慣があります。食堂で生水が出ます。大陸では生水はあまり飲みません。
沸かして飲むのが習慣です(安全にするための昔からの知恵、大陸の習慣)。
 
 安全なはずの水道水ですが、ペットボトルの水は売れています。塩素臭い水道水は信用さ
れていないということです。
 日本で水道水に塩素添加が始まったのは、進駐軍(GHQ)による塩素消毒の強制からで
す。塩素添加は、野戦(戦場)で即席に安全な水を作る基準で、最低濃度があっても上限は
ありません。浄水場で2ppm、管末で0.4ppm以上。今も日本の水道水は米軍野戦基
準のままです。
 でも、戦前の日本の水道水は、赤道を越えても腐りませんでした。腐る物質が入っていな
い清らかな水だったからです(AOCが低い水)。急速ろ過の水は、腐る物質がまだ残って
いる欠陥処理です。だから塩素添加します。
 
 ※ AOCとは、水中の有機系炭素のうち微生物がその増殖に必要な栄養源として
  利用できる有機性炭素のことです。微生物増殖の指標として用いられます。
   AOCがゼロなら微生物は生存できないので、塩素消毒も残留塩素も必要あり
  ません。長期間冷蔵庫で保管しても水が腐りません。
 
 
 金魚が死ぬ水でもイルカやペンギンは大丈夫です。金魚はエラ呼吸、イルカやペンギンは
肺呼吸(毒入り水を体の中に入れていない)だからです。人も塩素臭い水を体に入れて飲ん
でいます。小さきものは敏感ですが、大きな動物は毒には鈍感だからです。
 
 安全と言われる水道水があるのに、湧水を汲みに行く人が増えています。水道水を信用し
ていない、塩素臭い水道水をあきらめた人たちです。
 湧水の宣伝に、羊蹄山の水もそうですが、「50年とも100年という果てしない時を超
えて、水は浄化されミネラルを溶かし込んで、極上に甘く、まろやかな名水になる」という
文句がよく使われますが、その宣伝文句はウソです。イメージ的に良いから、どこでも同じ
ように宣伝しています。
 本当は数ヶ月です。大雪の時は湧水量が豊富で、少ないときは湧水も少ないです。
自然の仕組みでは、浄化が瞬間的に行われますので長くても数ヶ月で浄化されます。
確かに渇水期では地下の水が出てきますが、普段は地表の水が湧水の中心です。地下の水が
たくさん出るケースはあまりありません。
 科学者が本当のことを言わないので、イメージ宣伝が世間に広く認知されています。
このことがおかしいことなのです。日本は、意見を言えない変な社会だということです。
最近は少し変わってきたかもしれませんが。
 私の住んでいる長野県が、田中知事で良くなった事は、田中知事は現場の下の者の意見を
直接聞く姿勢を取ったので県庁(職員)で上の者も現場の意見を聞くようになったこと
です。
 
 次に水道の歴史についてお話しします。
 1804年、スコットランドでジョン=ギブという繊維の脱色をしていた人がいました。
繊維産業では、(当時は産業革命の時代でした)布を大量のきれいな水で洗わなければな
らない工程があり、河原で湧いている清水は濁りが少なく澄んでいることに着目し、同じ
仕組みの浄化施設を作って、自分の工場で使わない余った清澄な水を各家に売り歩いたのが
始まりです。1829年に英国のジェームズ=シンプソンが緩速ろ過処理の原型を完成さ
せ、ちょうど明治年間に緩速ろ過処理法は世界に広まっていきます。
 ちなみに小樽の水道も、1914(大正3)年に英国人技師バルトンが設計した緩速ろ過
処理施設で、ろ過池がその当時のまま(池の壁が階段状で水圧に強い構造)で今も現役で使
われています。
 世界中に緩速ろ過が普及しましたが、米国では河川の濁り(岩石粒子など)が多くて緩速
ろ過処理がうまくいかず、凝集剤(硫酸アルミニウム)によって濁りを手早く沈殿させる
薬品を使う急速ろ過が生まれました。1882(明治15)年です。
 東京も緩速ろ過を採用していたので、アンチ東京の京都では、1912(明治45)年
急速ろ過を導入し、水道水に塩素添加をしました。
 戦後、水道水への塩素添加が普及します。そして、1972年、オランダで水道水中に
塩素化合物が発見されます。1962年、東京玉川浄水場でカシンペック病騒ぎ。1974
年、米国でトリハロメタン発見。1987年、米ジョージアでクリプトスポリジウム。
1993年、米ミルウォーキーでクリプトスポリジウム。1996年、日本の越生ででクリ
プトスポリジウム(塩素耐性の原虫)。
 
 そこで、急速ろ過の母国アメリカでは緩速ろ過(原虫も取り除く)が再認識されます。
1994年には、アメリカ水道協会で緩速ろ過の研修会がオレゴン州セーラムで開催されま
した。日本からの参加者は私だけでした。
 
 日本では、急速ろ過は原虫(クリプトスポリジウムなど)を取り除けないので、膜処理が
勧められるようになります。
 
   簡単な流れ
 緩速ろ過(清澄)−> コレラに安全 −> 急速ろ過(+塩素)
−> 塩素化合物 −> 膜の勧め
 
 
 ジェームズ=シンプソンが自然に学んんで完成させた緩速ろ過の施設は、河川水(テムズ
川)を沈殿池と砂ろ過で清澄な水を給水する施設でした。上から下へ流すゆっくり砂ろ過、
砂層表面の削り取りでろ過閉塞回避も開発しています。
 当時は、物理的濾過で清澄な水、細菌除去ができると考えられていました(沈殿池と砂層
表面にいる多様な生物群集の活躍によってであることが知られることになるのはまだ先の
話)。1832年当時、水道水源であるテムズ川は、ロンドンでは下水道は発達していまし
たが、まだ汚水処理という思考はなかったため、汚水は工場排水・糞尿は下水道からテムズ
川へ直接流れていました。そのため、テムズの水は怪物スープ(MonsterSoup)
と呼ばれていました。汚水で汚れた真っ黒な汚い水でしたが、緩速ろ過処理すると汚れた水
がおいしく安全な飲み水にできました。バッキンガム宮殿へも給水されています。
 当時、世界ではコレラが流行していましたが、緩速ろ過の水なら罹患しない、大丈夫だと
評判になりました(仕組みはまだ不明でした)。日本でも開国により幕末から明治初期に
コレラが大流行しています。1883(明治12)年には、英国人パルマーに横浜水道設計
依頼し、1887(明治20)年10月17日給水が開始されています。
 1892(明治25)年、ドイツ。ハンブルグとアルトナでコレラが流行しました。
両市は同じエルベ川の水を取水し市民に水道水として供給していました。アルトナは緩速ろ
過施設が完成していましたが、ハンブルグは未完成でした。ハンブルグでは大量のコレラ患
者と8,605名の死者が出ましたが、アルトナではわずかな大人しか患者が出ませんでし
た。本来なら子供や老人など健康弱者と言われる人が罹るのに意外な結果でした。アルトナ
の大人患者は隣のハンブルグに働きに行きコレラに罹患したと考えられます。
 この事例から、ゆっくりろ過:緩速ろ過ならコレラ(病原)菌は除ける、ことがわかりま
した。ロバート=コッホは「1ml中に一般細菌が100以下ならコレラ患者が出
ない」という基準を示しました。この世界基準は今も使われています。ゼロではありませ
ん。現在の水道水基準も同じです。ゼロは危険だということです(人に悪さをしない細菌ま
で死んでいるということ、生物がいない危険な水)。
 
 
   上は汚いが下は綺麗。
 
 1893年ベルリンでの緩速ろ過に関する報告です。「砂層表面近くにだけ細菌や汚泥が
存在。冬期は削り取りは深く、夏は藻が繁殖し、削り取り深さは浅かった。Openと
Cover(濾過池に覆い)の20年間の結果を見たら、Openのほうが細菌除去が良か
った。藻が繁殖する時期、水は汚いが、濾過水は清澄。しかし例外かも」と記述されまし
た。Openの方がきれいな水ができる(生物群集の活躍するため)のが知られたのです
が、当時は生物処理という意識はできたが、物理的な処理(砂濾過)が主であると考えられ
ていました。本当は間違いですが。また、1905年には米国人により間違ったことが広め
られました。冬期、凍結時の削り取りに費用がかかるので、凍結防止にろ過池を覆うことが
勧められます。寒い地域は覆いをかけたろ過池がいいと。これも間違いで、寒くても水深が
浅く太陽の光が当たれば、生物は活躍しますのでOpenが正しいのです。ちなみに日本で
も北の地域の濾過池は覆いがあるものが作られてしまいましたが、小樽は英国人が設計した
ため濾過池はOpenで作られています。
 
 こうして、200年前は機械的な物理ろ過と考えられたので「緩速ろ過」と命名されまし
た。しかし、100年後の今、藻の役割、動物の役割が認識され、浄化に生物が関与してい
ることが気づかれ、生物ろ過と認識されるようになりました。生物浄化法
(Ecological PurificationSystem)と名前を変えないとい
けません。ちなみに私は2005年、愛・地球博で(本当の仕組みがわかったということ
で)「愛・地球賞」を受賞しました。
 生物浄化法(緩速ろ過)に砂の大きさは関係ありません。緩速ろ過用の砂は細かく、急速
ろ過用の砂は粗いのが今までの常識でしたが、生物浄化法(緩速ろ過)であれば、急速ろ過
用の砂(こちらの方が安価)で十分機能します。生物が活躍する砂の空間が重要です。粗い
砂でもOKです。
 生物浄化法と認識することにより、設計思想が変わるんです。今の日本がおかしいという
ことになります。しかし、日本の専門家は知っていても改めたり、直そうとしません。市民
が声を出さない(知らされていない)から。
 生物浄化法は、自然の仕組みの上手な活用で、生物の立場になって考えます。
生物群集を取り除いてはいけません。無菌状態はおかしいのです。消費者(水道水利用者)
は声を出さないと、おいしい水道水にはなりません。
 
 
 緩速ろ過の仕組み(英国式)
  砂濾過ではなく、生物群集による浄化。
 
      太陽
                    藻類繁殖によるゴミ除去
原水−>               越流管
    糸状藻類
    の繁殖  光合成 酸素供給
 
    砂層 細菌 微生物
 
            −> 清澄なろ過水(水道水としてOK)ができる
 
 戦後、塩素添加が強制され、清澄なろ過水(水道水)が配水池(浄水池)で
殺菌消毒(塩素添加)を加える(急速ろ過では必要。清澄にならない)工程が増えた。
 
 
 
    お金があると良くないこともある。
 
 お金があると、自治体は自分で考えずコンサルタントに相談します。そして業者に相談
し、業者の言いなりになり、結果的に高価になります。
 1964(昭和39)年、長野県企業局は上田市に県営上田水道管理所(急速ろ過)を完
成させました。消費者からは水がまずくなったと言われました。
1923(大正12)年に完成した斜めの壁の緩速ろ過の池が3つありました。
ろ過機能が一番良いろ過池でしたが、予算が余っていたため、古いという理由で、垂直壁の
設計が悪いろ過池に変えてしまいました。それは、とんでもない間違いと指摘し工事を中止
してもらった結果、何とか現在は一つのろ過池だけは残されました。
 上田に残された1池で約1万人分の水道水が供給できます。日本のろ過(流水)速度は遅
いので、英国テムズ川の浄水場のように10m/d(日)で実施すれば、2万人分の清澄な
水道水を供給できます。池は糸状藻類の連続培養系になっており、藻類の光合成により酸素
が生産され、池からたくさん気泡が出ており、気泡の浮力で藻類が水面に浮かんでいます。
 急速ろ過処理は問題が多い欠陥処理です。毎日出される、凝集剤などによる産業廃棄物の
汚泥処理費用が水を造る費用よりも高いとも言われています。産業廃棄物の天日乾燥床も必
要になります(面積必要)。しかも、臭い水、クリプト汚染の危険性があります。急速ろ過
処理の浄水場では、危険な薬品、高度な機器が必要で、専門技術者が必要です。素人では維
持管理できないので、業者に相談する必要があります。急速ろ過はろ過効率が良いとは、
急速ろ過池だけのことです。未完成なシステムなので次から次へと施設改良が必要で、借金
が増えます。しかも水道水はおいしくないので、ペットボトルの水を飲みたくなります。 
 緩速ろ過による浄水場はろ過池以外の面積はほとんどありません。産業廃棄物もほとんど
出さないし、省エネです。今、地方自治体は東京以外、財政難です。急速ろ過を日本でいち
早く導入した京都では、3カ所ある急速ろ過施設をすべて緩速ろ過に変えます。ちょっと前
に京都から生物浄化法(緩速ろ過)を導入するのでアドバイスしてほしいという依頼があっ
てボランテア精神でアドバイスしてきたところです。
 
 
   生物浄化法は、すべての生物群集が活躍できるように考える。
   酸素不足にならないように流速は早いほうが良い。
   ろ過速度が遅いと酸素不足で動物が活躍できない。
 
 緩速ろ過の池は3種類に分けられます。
1 茶色のケイ藻が繁茂している池
2 ケイ藻が生物群集に食べられて(食べられにくい糸状緑藻が繁殖)緑色の池
3 緑藻も鳥類などの動物に食べられて、藻の生えていない池
 2と3のタイプは南に多いです。南の地域(例:東南アジアなど)は温度が高く、
動物の活動が盛んだからです。
 
 今も、英国ロンドンは100%生物浄化法です。汚いテムズ川の水を貯水池に貯留し、薬
品を一切使わない急速ろ過処理(粗ろ過で濁り取り)をして緩速ろ過処理をしています。
アシュフォード・コモン浄水場のろ過速度は10m/dが標準です。
 テムズ川水道のろ過速度は1日10m(0.4m/h)を標準にしています。
速いろ過速度のほうが水質が良いからです。何故かというと、ろ過池で藻がたくさん繁殖す
る(酸素の日変化大きくなる)と、夜間に酸素不足を起こし水質が悪くなるからです。その
ため、夜明けの酸素不足を解消するため(酸素の日変化を小さくする)の方法を思案したと
ころ、池を覆うことも考えられましたがコスト高ということで却下し、コストのかからない
ろ過速度を速くする方法にしました。水質は良くなり、問題は解決しました。早い砂濾過が
緩速ろ過の本当の姿だったのです。日本のやり方のろ過速度は遅いので、酸素不足で悪い水
になっています。
 ちなみに生物浄化法の研究に助成金を最初にくれたのは、英国のBritish Councilです。
この時は、英国大使館から直接に私にお金を送金してくれました。その後、英国の財団から
も助成金をもらい、英国の浄水場を調べることができました。でも、日本では、研究費は
一切もらえません。業界のための研究しか助成金を配らないという仕組みが日本にはありま
す。宮古島の調査で旅費を工面してくれたのは、宮古島上水道企業団でした。お陰で、緩速
ろ過処理の研究は、熱帯圏や硬度が高い水の処理のヒントになりました。スリランカにも緩
速ろ過処理の浄水場を建設するのに協力しました。インドネシアにも建設するのに協力しま
した。バングラデッシュにもヒ素汚染対策で、緩速ろ過処理の施設建設に協力しました。
アフリカのナイジェリアからも問い合わせがあり、緩速ろ過処理の施設建設に協力しまし
た。全てボランテア精神で協力してきました。これらの苦労話などは、「生でおいしい水道
水(築地書館)」や「おいしい水のつくり方(築地書館)」に詳しく書いてあります。
 
 では、日本の緩速ろ過の現状をお話ししましょう。東京都水道局は日本の水道会のリーダ
ーです。緩速ろ過も東京都のやり方が標準になっていますので、東京都のやり方をお話しし
ます。
 砧(上)浄水場は原水に多摩川の伏流水(濁りがない。ろ過閉塞しない)を使っていま
す。標準ろ過速度は8.5m/d(砧下は9.5m/dが標準)で、濾過池(面積
2,690m2)*6池=15,140m2です。
6池で137,190m3/d、一人1日0.3m3使うとして457,300人分の
供給能力があります。
 東京都水道局砧浄水場ではろ過速度が遅いために酸素不足になり、悪い濾過水になりま
す。たぶんろ過速度は2m/dでしょう。酸素不足を解消し水質を良くするためにテムズ水
道ではろ過速度を5m/dから10m/dと早くして酸素不足にならないようにしました。
しかし、東京都水道局はろ過池に直接塩素を添加しました。「藻の繁殖は悪いこと。さらに
腐って酸素を消費する」と考え、藻が発生しないように、藻を殺すためにろ過池に塩素を添
加したのです。また、越流管(藻類繁殖によるゴミ除去)から排出される水がもったいない
からと越流管をコンクリートで埋めてしまいました。越流管が機能しないので池の水面で藻
が腐ります。そして糸状緑藻に遷移します。それを取り除くのに今度は水面給油式ポンプで
排出しています。越流管を塞がなければ自然と改善していくのにわざとコストをかけている
ように見えます。また、藻を繁殖させないために光合成を阻害するため、ろ過池をカンバス
シートで覆いました。原水は、河原の伏流水です。暗闇(川の中)で既に砂ろ過された水で
す。光を当てないで砂ろ過するということは、何もしないのと同じ事です。これは、生物浄
化法(生物ろ過)ではありません。
 東京都水道局では、生物処理を誤解し、工事中です。原水は河原の伏流水なので、安価に
おいしい水道水を作れるのに、作ろうとしていない。それが東京都水道局。
 東京都水道局境浄水場は1924(大正13)年から稼働している歴史のある緩速ろ過プ
ラントです。1池で7万7千人分、全部のろ過池を稼働させると154万人分のおいしい水
道水を供給できます。テムズ水道のろ過速度なら300万人に供給できます。でも、緩速ろ
過を休止して使っていません。ろ過池が目詰まりするからと上の人に説明を聞くと答えが返
ってきます。現場に行って答えを聞くと違います。本当は、急速ろ過プラントを維持するた
めです。高度な機器を使用する急速ろ過は機械が一つでも止まると使えなくなります。常に
機械を動かす必要があるため、緩速ろ過を休止させないと水道水を過剰に供給することにな
るため、休止が容易な緩速ろ過を休止しているのです。また、ろ過池が目詰まりするという
のは、原水に答えがあります。原水は山口・村山貯水池なのですが、急速ろ過プラントにも
原水を供給しています。急速ろ過では薬品・凝集剤で濁りを取り除けても、薬品に反応しな
い細菌・原虫や臭いは取り除けません(だから最後に塩素添加で殺菌が必要になる)。原水
には藻も厳禁なため、殺藻する必要があります。だから、藻の繁殖を防ぐために生物にとっ
て毒の硫酸銅を散布しています。緩速ろ過は生物ろ過です。藻を含め多様な生物が生きてい
ける条件にしないと、ろ過がうまく機能しません。だから目詰まりするわけです。偉い人は
パンフレット通りにしか回答しません。実際に現場に行って確認することが大事だと思った
次第です。硫酸銅は生物毒です。緩速ろ過を休止してまで毒の水を供給するのは水道法の目
的から言ってもおかしいのです。
 日本の水道界のリーダーである東京都が間違いをしているため、このやり方を日本全国が
真似ているため、水道水への信頼が低下しているのです。
 でも東京都が再認識すれば、日本中で蛇口から安全で美味しく廉価な水道水を飲める。
 
 
   動物は何でも口に入れる。集める。破砕する。
   糞塊として排出する。糞の中で発酵する。
   難分解性物質は発酵により壊れる。動物は何でも口に入れる。
 
      生物浄化法の仕組み
 あらゆる生物群集の活躍で、安全でおいしい飲み水ができます。
 
 考え方の変遷
 ゆっくり砂ろ過 −> 緩速ろ過 −> 生物浄化法
                 多様な生物の働きによる浄化。
 
      太陽
                    藻類繁殖によるゴミ(スカム)除去
原水−>               越流管
    糸状藻類
    の繁殖  光合成 酸素生産
                      ・・・ろ過池で活躍
         細菌 微生物 微小生物
 
                    −> 安全でおいしい飲み水
 
 上から下に常に水が流れることにより機能しています。
 
 藻(珪藻、糸状藻類、プランクトン) −> 酸素生産、動物のエサ。
   濁り(細菌、クリプト原虫、ウイルス、異臭味物質など)
  生物が砂の間を自由に動き回り、濁りを(エサとして)食べる(生物による分解)
  何でも口にする。生物は食物を砕いてその汁を吸収、吸収できないものは糞になる。
   動物の糞塊(団粒構造:嫌気、外は好気)、動物は糞を上に持ち上げる(濁りは上
  に持ち上がる)。
    糞の中は酸素不足で発酵 −> 分解。エサになる。
                    ・・・何回も繰り返される(食物連鎖)。
     何回も繰り返されることによりエサがなくなる −> 生物無。
 
  微生物・微小動物の腸管を通過(エサとして反応しない)物質は、砂層を通過
   = 人間の腸管も反応しないので素通りする
 
                  −> 安全でおいしい飲み水
 
 この構造はろ過池だけでなく、森林、大地(土壌)でも同じ仕組みです。だから、山の清
水・湧水は清澄でおいしい。
 
 
   生物群集を取り除いてはいけない。
   自然の森林土壌は、常にあらゆる生物群集が活躍している。
   スロー(緩速)とは、すべての生物が活躍するという意味。
 
 私が生物浄化法の浄水場として案内している、群馬県高崎市にある若田浄水場と剣崎浄水
場をお話しします。
 剣崎浄水場は、1910(明治43)年に完成した、英国式の緩速ろ過の浄水プラントで
す。11,500m3/dの給水能力があります。200リットル/人/日とすると5万8
千人に供給できることになります。河川表流水を自然流下で沈殿池へ流しています。ゆっく
りの砂ろ過池です。100年使っても現役で壊れるところがありません。薬を使うという思
想はありません。自然任せなので、人がいません(これがいいのです)。急速ろ過用の粗め
の砂を使っています。そのほうが生物群集にとっては都合がよいからです。凝集剤は使って
いません。砂の削り取りもあまりしなくてもろ過閉塞しません。沈殿池だけで台風時の濁り
も対処できています。
 若田浄水場は365日一般公開されています。キリンビール工場の養成で1964(昭和
39)年完成しました。2004年は台風で原水濁度は250度近くなりましたが、凝集剤
は一度も使わず、沈殿池だけの対処で無問題でした。水道水原価は35円/トンです(ペッ
トボトル水と比較してみましょう)。日本一おいしく安い水道です。1,250m2(31
mm*41m)*10池です。9池使用で、テムズ水道のろ過速度10m/日なら、
112,500m3/日供給できます。一人1日0.3m3とすると375,000人分の
水道ができます。
 
 
   光条件さえ良くすれば寒くても光合成する。
 
 冬、寒くても水深が浅く太陽光が十分当たるなら、光合成する藻は繁殖します。若田浄水
場は水深が深く、光が十分届かないろ過池で藻が繁殖しにくかったのですが、生物活性を高
めるために水深を浅く改良しました。
 
 
   良い水質の監視人がいたから、高崎の水道水はおいしくなった。
 
 キリンビールの工場で醸造に使用していました。キリンビールに供給していた水道水につ
いて公式に問い合わせると塩素添加しているという回答になるのですが、現場で確認します
と使っていなかった。少しでも悪い水道水(塩素添加も)を供給すると苦情の電話が来まし
た。水道料金は払わないし、請求もしませんでしたが。良い水質の監視人がいたのです。
浄水場はPL法施行前からその精神で実行していました。それで良い水道水は凝集薬剤を
一切使わず、自然に任せるのが一番良いとわかったのです。
 
 
 生物浄化法では、砂の表面の1cmの生物膜(水中では立体構造だが水を抜くと水分がな
くなり膜のように見えるため、こう呼ばれる)が浄化を担っているので取り除いてはいけま
せん。1年以上、削り取り作業をしない浄水場はたくさんあります。汚泥が出ないからで
す。砂層上部の生物層は夏は薄く、冬は少し厚くなるため、水温で生物活動が変動するの
で層の厚みが変わるため、砂層は1mくらいありますが保険です。ただし、生物毒の凝集剤
・塩素をろ過池に散布すると、生物浄化が機能しなくなるので砂層は深いところまで汚れま
す。生物群集を完全に取り除くと、発達するまで日数がかかります。削り取り作業は悪い水
にする間違った作業です。それでも夏は約10日で藻類被膜が発達し藻類の連続培養系なり
理想的なろ過水に回復します。
 生物浄化法(緩速ろ過)の主役は砂層約1〜2cmの生物で通過するだけで浄化されま
す。通過時間は数分なので、生物による瞬間浄化と言えます。
 
 
   ドイツでは水が良ければ塩素添加しない。
 
 ドイツ、エッセンの隣町、鉄工業で栄えたムルハイムの浄水場では、ルール川の河川氾濫
原で地下浸透させ、取水していました。人工の伏流水を作っているわけです。ドイツでは、
水道水の6割が井戸水や人工の伏流水です。4〜5割は無処理で塩素添加もしていません。
 
 
   薬品処理の急速ろ過処理は完全な欠陥処理ではないか。
 
 急速ろ過の仕組みは、単機能の組み合わせです。
 
  急速ろ過の仕組み
 −>原水
    凝集剤 凝集補助剤を添加
   急速混和(機械でかき混ぜる)−>沈殿物質形成(ゆるい混和)
 −>沈殿池(汚泥を沈下させ分離)−>急速ろ過池(砂と砂利)
                     (固形物、汚泥排出)
                   (砂層目詰まり激しいので逆洗浄)
       汚泥・固形物は汚泥処理は産業廃棄物となる。
 −>塩素消毒−>浄水池−>給水
 
 
 ろ過池の面積は小さい。(ここしか利点はない)
 薬(ポリ塩化アルミニウムなど)で濁りを沈殿させる。それにより作成される汚泥は産業
廃棄物。処理費用は莫大にかかる。
 汚泥の水分を抜くための天日乾燥床は広大な面積が必要。
 細菌除去が不完全=塩素添加で殺菌が必要。(クリプト等塩素耐性原虫は殺せない)
 急速の浄水は原水から浄水まで2時間、おかしい水が入ってきても、対処不能。
 
 クリプト対応で膜ろ過が推奨。しかし、膜の寿命は5年。膜は産業廃棄物。燃やせばダイ
オキシン生成。
 
 
   横浜市は自分たちの浄化処理を否定。
 
 横浜市は1887(明治20)年に英国方式の生物浄化法(緩速ろ過)を導入した。戦後
1963(昭和38)年に米国式の急速ろ過(薬品処理)に変更した。塩素くさい水道水は
飲まれないので、2003年10月から横浜市水道局は、水源の水をペットボトルに詰めて
売り出した。横浜市は自分たちの浄化処理を否定したのです。
 浄水場は飲み水を作り供給するところです。でも、飲まれない水を供給しているというこ
とです。
 ちなみに広島県三原市は生物浄化法の浄水場を完成させ、水道水をペットボトルに詰め
て、その水質の良さを舌で感じてもらうために、皆に配りました。
 
 
   残留塩素濃度基準について。日本の基準がおかしい。
 
 米国式の急速ろ過には安全のため殺菌が必要。塩素添加は急速ろ過での安全基準。
 日本:水道法施行規則では、給水栓末端で0.1mg/l以上が義務づけられている。
    水質管理目標設定項目:1mg/l以下が望ましい。
    おいしい水の要件:0.4mg/l(毒は低濃度だから大丈夫という論調)
 EU(欧州):基準なし。塩素は毒が常識。
 WHO:5(第2版及び第3版ドラフト)、0.6〜1(性状)
 USEPA:4mg/l
 米軍野戦用給水基準:0.4ppm以上(常時使用する基準ではない)
           日本の水道界は米軍野戦用給水基準を今も守っています。
 
 沖縄には、「水の店」という水を売っている店があります。水道水が使われていません。
何故かというと、米軍基地があるからです。塩素をたっぷり添加していないと米軍基地から
苦情が来るからです。米軍基地は米軍野戦用給水基準なので塩素臭い水を要求します。水道
水は一般家庭にも同じ水を配水しますので、戦場ではない一般家庭では敬遠されます。山口
県岩国も水道水に塩素がたっぷり添加されています。
 
 
   ペットボトルを容認してはいけない。
   自然の仕組みの上手な活用・・・生物浄化法は生物の立場になって考える。
 
 福島県のある民間コンサルタント会社では、プランターなどで簡単な生物浄化装置を組み
立て、実験し宣伝しました。原水は河川水+伏流水(酸素不足の水)でした。日曜大工で
できる簡単な装置ですが、ろ過した水から大腸菌は検出されません。
 自宅の車庫の上に生物浄化プラントを作った人もいます。塩素臭い水道水を飲みたくない
ということで、井戸を掘りましたが、鉄やマンガンが多かったため、屋根の上に水路を作り
生物(藍藻、微小動物)を繁殖させ、十分に酸化処理(空気に触れると赤茶けて沈殿)を
し、最後に緩速砂ろ過をして自宅用の水として、自己責任で塩素を添加しない水を使ってい
ます。鉄やマンガンが多くても薬を使わず、水路で生物を繁殖させ酸化沈殿処理をすれば、
緩速ろ過用の原水になります。
 琵琶湖北湖沿岸の簡易水道は原水として渓流に穴あきパイプを入れ、不織布(フェルトみ
たいなもの)粗ろ過・砂層の上に使用して生物浄化法を行っています。給水人口が100人
以下なので水道法は適用されませんので塩素無添加で使っています。
 日本には小さな水道がたくさんあります。小さなところから生物浄化法を広めていこう
と、NPO地域水道支援センターというのを2006年立ち上げました。
 
 
      熱帯は生物活性が高い。地域に適した方法で。
 
 生物浄化法は寒い北欧で開発された、生物群集が活躍して浄化する、生物群集を健康にす
る仕組みです。物理ろ過ではないので、生物群集の視点が重要です。熱帯は生物活動が盛ん
です。藻の繁殖、微生物、動物の活性が早く、酸素の日変化が大きくなります。ろ過速度を
速くする必要があります。
 
 熱帯地域で緩速ろ過処理の施設建設に協力した話を少しします。インドネシアでヤマハ発
動機(株)が社会貢献で住民のために緩速ろ過施設をつくり、それに協力しました。
 
   仕組み
 水路で藻類と動物を繁殖させ、濁りを取り除く。
 水路にブラシ状のヒモ、藻類と動物の住処。
 藻:光合成、酸素生産。pH上昇、重金属は水酸化物になり沈殿。
 動物:濁り物なら何でも捕捉し、糞塊として沈める。
 
 沈殿槽−>沈殿槽−>沈殿槽−>沈殿槽−>緩速ろ過層−>安全な飲み水
 
 塩素添加していない水を1家族(7〜8人)20リットルを2本、飲み水と調理だけに
使用しました。洗顔やシャワーなどに使用していなかった(するには人数的に量が少ない)
が、下痢や目の病気がなくなり。住民が健康になった。健康村と言われるようになった。
 住民が自前で浄化処理プラントを維持管理も行うこともあり、衛生意識が向上し、汚れ
や健康に気をつけるようになった。また、浄化された水を使うことで病気に対して、抵抗
力がついたと考えられています。2005年フジテレビ「不思議の水1000年の旅」と
いう番組で俳優の辰巳琢郎さんが、この水を生で飲んでいます。
 
 次にアジアヒ素ネットワークに協力して、バングラデシュに作った生物浄化プラントの話
をします。
 バングラデシュはガンジス川のデルタ地帯にあります。しかしこの川の水は病原菌などで
汚染されやすい水で住民は下痢をしやすかったのです。そこで手軽に井戸水を掘って病原菌
に汚染されにくい地下水を使ってもらおうと、各国の慈善団体などが好意で手押しポンプを
提供しました。しかしこの水は見た目には清澄な水でしたが低濃度であるもののヒ素に汚染
されていました。長い間、井戸水を飲んでいたところ、皮膚ガンなどの患者が出はじめまし
た。ヒ素による慢性中毒でした。
 河川水はヒ素に汚染されていませんでした。そこで住民のために安全な飲み水を緩速ろ過
処理でつくることになり、私が協力しました。河川水には農薬も入っていましたが、生物の
お腹の中を何度も通過し分解をさせるのが良いと、何回も緩速ろ過をする仕組みにしてみた
ところ、難分解性物質である農薬も分解し、その後は通常の緩速ろ過で安全でおいしい飲み
水になりました。繁茂した藻は時々取り除く必要がありますが、この藻は畑の肥料になりま
す。また、熱帯なので生物活動が盛んなため(浄化も早い)、ろ過速度を早くしました。
 最後に塩素を添加することになっていますが、実際は、添加していないようです。塩素添
加をするというのは、急速ろ過処理では病原菌除去が不完全なので必要な処理であり、生物
処理には必要ない処理です。生物浄化法では、生物が繁殖するために有機物がほとんど消費
されてしまうので余り心配ないのです。
 アフリカのナイジェリアからも問い合わせがあり、生物浄化法施設の助言をしました。
 
 発展途上国の農業支援をしているオイスカが神田川(杉並区永福町)の水を取水し、緩速
ろ過装置の実験をし、飲用可の水ができました。
 濁り対策に上向き粗ろ過を工夫しました(濁り除去、物理除去、生物による除去)。藻類
を繁殖させたほうが砂層が詰まらない(動物により濁り捕捉)のです。
 (仕組み  藻類−>動物繁殖:補食:捕捉:糞塊:団粒構造)
 神田川の汚れた水でも、この装置で細菌(大腸菌)、鉛、農薬(アトラジン、シマジン)
も検出されない、硝酸性窒素2.00mg/l、亜硝酸性窒素0mg/l、pH8.5、
総硬度250mg/l、全残留塩素0mg/l の水ができました。
 
 
   厚生労働省のリーダーも塩素は毒と認識し、水道法を改正したい。
   みんなが応援しないと安全でおいしい水は飲めない。
   何も知らない裸の王様になっていた。自分で考えて声を出そう。
 
 2001年は水の年でした。でも、朝日新聞の水の取り上げ方はおかしいと言ったとこ
ろ、新聞社はスポンサーに遠慮して取り上げられないので投稿してください、と言われ
たので、投稿したら、2001年7月31日に投稿欄に「水道水 おいしい水を飲むため
に」が記載されました。また、2003年10月に横浜市がペットボトル水を販売したと
きにも2003年11月19日の朝日新聞、科学(直言)欄に「おいしい水道水作りに挑
め」が記載されました。
 
 2002年から、日本の水道界の指導者がこれまでの主張(塩素添加必要)と180度違
うことを言い出しました。
 
 水環境学会誌25(8):27−29,2002 特別講演・受賞記念講演
「緩速ろ過で、疫学的にコレラが除けていた:ロンドン、ハンブルグ
 戦後米軍の指導で残留塩素保持、常時塩素添加
 塩素−>発ガン物質生成、遺伝障害性、クリプト問題
 ヨーロッパは残留塩素保持を義務づけていない」
 
 2002.08水環境学会誌
「ヨーロッパ諸国では残留塩素の保持を義務づけしていなく、塩素処理を行っていない水道
事業体も多い。それは、塩素臭を給水栓水で感知されることは、水道利用者からの苦情を招
き、ひいては水道に対する信頼性を低下させることにつながるという認識がある。
 
 当然のことながら、塩素の使用を行わないか、塩素臭を感知しない水道水を供給する水道
が多くなっている。その結果として、水道水の信頼性が回復し、テーブルウォーターとして
水道水が使われるようになっているのである。」
 
 2002.10.31産経新聞 水再考
「私は塩素を使わない水道があっていいと思う。水質への配慮は十分しなくてはいけないが
、水源の状況は各地で違うので一律に残留塩素がなくてはならないとするのはどうか。
 コストと安全のバランスは利用者が決める問題では」
 
 用水と排水45(11):1、2003年11月号(今月の話題)
「欧州では、残留塩素を義務づけている国はなく、塩素処理も実施しなくなった水道事業体
が多い。それは、カルキ臭を水道水で感知されることは、需用者から苦情を招き、ひいては
信頼性を低下させると認識があるからである。
 欧州では、残留塩素は毒というのが常識。1970年代のトリハロメタン事件以来の認
識。
 
 水道協会雑誌71巻11号(2003年11月号)「浄水技術開発と水道の未来」
(p2−15)という座談会
「オランダの会議にペットボトルでなく、水差しに水道水。スーパーにペットボトルなんか
売っていない。AOC(生物利用可能有機物)を10ug/l以下にしている。
 AOCを10ug/l以下に減らすと微生物は栄養源が少なくて増殖できない。AOCゼ
ロなら栄養源が全くないので、微生物は生存できない。従って、塩素消毒も残留塩素も必要
ない。
 塩素絶対主義を変えるにはどうか。水道法を変えればよい。皆が声を出すこと。」
 
 何故、専門誌に載っているのでしょうか。国は水道水の残留塩素基準を見直したいからで
す。また、多くの人が本当のことを知ったとき、水道水に塩素添加は必要ない、と言ってい
たとアリバイを作っておきたいからです。
 
 生物浄化法(緩速ろ過処理)は、生物によりAOCを徹底的に少なくする方法です。生で
おいしい水道水を飲みたいなら生物浄化法にすることです。
 塩素添加は未完成の欠陥処理の急速ろ過処理のためです。塩素臭い水は危険と声を出さな
いと、法律は変わりません。ペットボトルの水を容認したら、水道水に関心がなくなりま
す。京極の水を汲みに行っていては駄目なんです。水道水を京極と同じような水質にしよう
と声を出さなければいけないのです。
 消費者が声を上げたことで、ヨーロッパは見直しが進んで、おいしい水道水を飲み始め、
残留塩素保持という考えを止めました。
 
 
   無菌の料理は無い。
   許容できるリスク。
   ゼロというのは無い。
 
 食器や手に細菌は付着しています。赤ん坊は何でも口に入れ、落ちているものでも平気で
食べます。病原菌に対して免疫力をつける行動をしてきました。微小動物、細菌は微量な毒
素でも反応し、危険と感じたら、回避します。人間は大きな動物で、鈍感です。私たちは必
要以上に神経質になっていないでしょうか。無菌が良いとは必ずしも言えません。何も知ら
ない裸の王様になっていないでしょうか。
 手を洗わずに食事、にぎり寿司を食べる、ハエなどとまっているかもしれない、飲食店の
食器はどれだけ清浄か、無農薬で虫が付いている野菜は敬遠される、手を洗ってもタオルは
清潔か、お金を平気で触り食事をする、キスをする、タバコを喫煙、危険性があるのに飛行
機や自動車に乗る。
 私たちは、どの程度まで安全であるかを即座に本能的に判断し、危険を回避してきまし
た。
 
 
   安全な水=人間が保証=基準で判断
   おいしい=人間の感覚で判断=微小生物・動物のほうが感度が良い
 
 基準はその時々の都合で決まります。高濃度、急性毒として反応するものに対しては、
基準が作れます。しかし、分析してもはっきりわからないものへの基準は作れません。
低濃度で何年もかかって反応する慢性毒の濃度に対して基準を作ることはできません。
 最新の高度精密分析機器でも検出できない濃度でも生物は反応します。塩素臭い水は犬は
飲みません。残留塩素のある水道水では魚は死にます。人間は大きな動物だから鈍感です。
検出限界以下の低濃度でも、長期間にわたって、飲用していたら、慢性毒に冒されているの
ではないでしょうか。塩素がアトピーの原因という説もあります。
 人間も動物も飲まない水、人間にとってもおいしくない水は危険でないかと疑うのが人間
の持つ本能ではないでしょうか。
 
 水道水に塩素や薬品を入れなければ、水道管は長期間持ちます。緩速ろ過のAOCの少な
い水は腐りません(戦前の水道水は腐らなかった)。腐る物質が無いからです。水道業者の
ためには早く交換してくれたほうが儲かりますので、業者のためにはなりませんが。
 
 2004年4月から、水質基準は「検出されないこと」となっていた項目が「大腸菌群」
から「大腸菌」になりました。何故かというと「大腸菌群」とした場合、病原菌ではない
土壌由来(善玉菌も)のものが多く、病原菌の指標にはならないことがわかったからです。
WHOが変更したので、日本も変えざるを得なかったため変えたのです。そして腸管由来の
「大腸菌」が指標になりました。(一般細菌100個/ml以下は変更なし)
 そのため、これまで水質検査で飲用不可とされてきた水の7〜8割が飲用可になりまし
た。こういう情報はあまり報道されません。日本では業者に都合のいい情報しか流れないか
らです。
 
 生物浄化法は、生き物が発生しない水ではうまく機能しません。汚い水ほど生物浄化法は
うまくいきます。生き物は何でも食べます。エキノコックスの卵やクリプトも食べられてい
なくなります。緩速ろ過では多様な生き物が住める環境がポイントです。森林や土壌で浄化
された、湧水のような水は無処理でもいいのです。すでに自然が浄化しています。
 
 
 
 より詳しくお知りになりたければ、「生でおいしい水道水」(築地書館 2000円+税)
と「おいしい水のつくり方」(築地書館 2000円+税)を発刊していますので、お読みくださ
い。「おいしい水のつくり方」は熱帯地域で緩速ろ過処理の施設建設に携わる人が現地の人
に説明できるように絵や写真の解説は英語表記も加えています。
 
 
 
質問
 我が町で塩素を添加する機械の故障で塩素無添加で水道水を供給したことがあった。
無塩素による問題はなかった。原水は湧水のため、急速ろ過のための塩素添加である水道法
の残留塩素基準を特区で克服できないかと言ったら、水道管に外から異物が流入する場合も
考えられるので塩素添加は必要という答えでした。
 本当に塩素は入れなければならないのでしょうか。
 また塩素を入れないことによるリスクはあるのでしょうか。
 
回答
 塩素は毒です。リスクは限りなく無い。私が、発言者として責任をとりましょう。
 
 
 北海道は涼しい気候だと実感しました。
 また、室蘭の地球岬、室蘭市を見て、「どうしたのか、ゴーストタウン」ではないかと
思いました。札幌だけが都会で活気があり、他は、全て活気がなくなってしまいました。
本州でも、大都会だけが活気があり、地方は、どうしたら活気を戻せるか、知恵を絞って
います。
 それには、無駄を省くこと、維持管理費がかからないシステムの導入です。そういう
意味で、自然の現象を上手に活用する方法の再評価、再認識し、導入することです。
利益追求の企業の原理のからすると、緩速ろ過処理を勧めないという事を理解しないと
いけないようです。