Rule of Open-Source Programming #5:
A project is never finished.
-- Shlomi Fish
-- "Rules of Open Source Programming"
<adeht> rindolf: my brother had AIMA in hard-cover.. and maybe I can
get a hold of PAIP
<adeht> s/had/has/;
* adeht yays for perl
<rindolf> adeht: what did perl do?
<adeht> <adeht> s/had/has/;
<rindolf> adeht: it's actually from sed and ed before that.
<adeht> I know, but I'm using perl syntax :)
<rindolf> adeht: now write it in Lisp.
<adeht> heh.
<adeht> in Lisp you wouldn't use a regex for this kind of dumb
substitution.. though you could
<adeht> rindolf: a nice way of writing CL code is to imagine your
dream language for expressing that particular problem, and
then realizing it :)
<rindolf> You probably wouldn't use a regex in Python either.
<rindolf> adeht: I see.
<rindolf> adeht: I'm not going to implement Perl in Common Lisp. :-D
<adeht> heh
-- Dream Language in Freenode's #lisp-il
-- #lisp-il, Freenode
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おいしい水と生物浄化法について
1 日 時 2007年10月12日(金)18:00〜20:00
2 場 所 後志保健福祉事務所(倶知安保健所)会議室(後志合同庁舎1階)
3 内 容 「おいしい水と生物浄化法について」
講師 信州大学名誉教授 中本信忠
ホームページ: http://blogs.yahoo.co.jp/cwscnkmt/
今回お話をしていただいたのは、信州大学繊維学部応用生物科学科教授
中本 信忠 様です。
世界では一番有名な日本人の水の専門家ですが、日本国内では大人の事情であまり
知られていません。
1 水道水を飲むのをあきらめ、ペットボトルを容認したら、水道水はおいしくならない。
水道水は飲み水です。
2 皆が、「塩素は毒」と声を出さないと、一度決めたルールは、なかなか直らない。
3 生物の視点が重要。生物には悪者がいない。その環境にあった者が繁殖する。
4 寒い冬でも生物は活躍している。氷の下でも魚を釣ることができる。
5 ろ過速度が速いと、酸素不足にならない。急激なろ過速度変化がないなら、砂の間の
生物は流されない。
それなら細かな砂は必要ない。粗い砂なら、目詰まりしない。
生物が活躍して濁りを捕まえる。
6 自然界で藻類や動物は、細菌が分解しやすいように働く。生物の気持ちになって考える
とわかる。
7 現在、「おいしい水のつくり方」はポルトガル語と中国語に翻訳中。
日本発の新しい発想の技術として世界に広がりだした。
8 水道法:清浄にして豊富低廉な水供給、飲用に適する水
高く飲みたくない水を供給は、水道法違反ではないの
9 水道局がペットボトルを販売:その水には塩素が入っていない
10 基準や条例は都合で決めた。
お上の言うことは、すべて正しいわけではない。
基準や条例を守るのではなく。基準や条例を作る精神(前文)を守らないといけない
11 科学者のための科学でなく、企業のための技術でなく、科学技術は人のため。
( 聞き取りメモです )
「生でおいしい水道水(築地書館 2000円+税)」
「おいしい水のつくり方(築地書館 2000円+税)」を発行しています。
これを読めば、地元の零細建設業者だけで簡単においしく しかも 安くて安全な水道水
を作れることがわかります。
水道水復活の切り札技術をわかりやすく丁寧に解説しています。
売れても印税はほとんど入りませんけれど。
安全といわれる水道水
でもペットボトルを買う
塩素くさい水道水は信用されていない
最近、水道局はペットボトル水の販売に熱心になっています。
東京都は「東京水」、横浜市は「はまっ子どうし」など。
しかし、これらペットボトル水は、水道水ではありません。東京都のは「塩素」を除いて
いますし、横浜のは浄化処理していない水道水源の水を使っていますので、両方とも水道法
で指定する安全といわれる「水道水」では、ありません。安全でないのにみんな買い求めて
います。
浄水場では原水に生物毒が入っていないかを魚で監視しています。でも、浄水場から給水
される水道水では、魚は死にます。排水の時に塩素が添加されるからです。
この水を私たちは飲んでいます。
横浜市は、戦前は緩速ろ過でしたが、戦後、急速ろ過を導入しました。そうしたところ、
市民は水道水を飲まなくなりました。
水道法では、水道とは飲み水を供給するところ、とされています。人々が飲む水を供給
するところです。
水道局は、ペットボトル水の販売をすることではないはずです。水道法の目的に反している
のではないでしょうか。
横浜市長に、そのことを質問しましたが、「水源の森を守るためにやっていること」とい
う回答が返ってきて、質問の回答ではない回答が返ってきました。
* 水道法
「第1条 この法律は、水道の布設及び管理を適正かつ合理的ならしめるとともに、水道
を計画的に整備し、及び水道事業を保護育成することによつて、清浄にして豊富低廉な水
の供給を図り、もつて公衆衛生の向上と生活環境の改善とに寄与することを目的とする」
おいしい水を求めて羊蹄山麓に人々が集う
水道水があるのに、湧水をくみに行く
水道水が信用されていない
水道水をあきらめた人たち
湧水の宣伝に、羊蹄山の水もそうですが、「50年とも100年ともいう果てしない時を
超えて、水は浄化されミネラルを溶かし込んで、極上に甘く、まろやかな名水になる」
という文句がよく使われますが、
その宣伝文句はウソです。
イメージ的に良いから、どこでも同じように宣伝しています。
ウソだらけの説明のほうが本当のことのように信じられています。
しかし本当は3〜4ヶ月です。大雪の時は湧水量が豊富で、少ないときは湧水も少ない
です。
自然の仕組みでは、浄化が瞬間的に行われますので長くても数ヶ月で浄化されます。
確かに渇水期では地下の水が出てきますが、普段は地表の水が湧水の中心です。地下の水が
たくさん出るケースはあまりありません。
甘くておいしい湧水は浅い地下水のことなのです。良い水とは浅い地下水のことです。
地下で熟成された水は、鉱物を含むので甘い水にはなりません。
進駐軍による塩素消毒の強制
最低濃度があっても上限はない
浄水場で2ppm、管末で0.4ppm以上
日本で水道水に塩素添加が始まったのは、進駐軍(GHQ)による塩素消毒の強制からで
す。塩素添加は、野戦(戦場)で即席に安全な水を作る基準で、今も日本の水道水は米軍
野戦基準のままです。
進駐軍(GHQ)は、その当時の自分たちの国(アメリカ合衆国)では、水道水と言えば
塩素添加が常識だったので、塩素添加されていない日本の水道水は、飲めない水だと思った
からです。それが今も継続しています。
しかし今、欧米は塩素添加をしなくなっています。(浄化の仕組みがわかったから。
私の研究が証明した)
でも、戦前の日本の水道水は、赤道を越えても腐りませんでした。腐る物質が入っていな
い清らかな水だったからです(AOCが低い水)。急速ろ過の水は、腐る物質がまだ残って
いる欠陥処理です。だから塩素添加します。
※ AOCとは、水中の有機系炭素のうち微生物がその増殖に必要な栄養源として
利用できる有機性炭素のことです。微生物増殖の指標として用いられます。
AOCがゼロなら微生物は生存できないので、塩素消毒も残留塩素も必要あり
ません。長期間冷蔵庫で保管しても水が腐りません。
緩速ろ過 SlowSandFiltration
=物理(機械的)ろ過ではない
−> 生物浄化法(生物が活躍することによるろ過)
Ecological Water Purification
System
宮崎駿のアニメの実写版みたい
緩速ろ過と言う名前だと、遅い物理ろ過だと専門家も誤解するので、「生物浄化法」と
名前を言うことにした。
( 仕組み )
1
生物浄化 : 酸素不足にならないように、ろ過速度も速いほうが良い。
あらゆる生物が活躍しやすい環境を保つ。
それ以外は人が関与する工程はほとんどない。何もしない方がよい。
あらゆる(大小)生物群集の活躍で、安全でおいしい飲み水ができる。
藻=酸素、動物のえさ
動物=濁りを食べる。栄養は汁にして吸収する。粒子の間の低分子を食べている。
汁にできない物は糞塊となり、醗酵。
動物は濁りを集めて、上に持ち上げる性質がある(糞は上に行く)。
動物の糞塊=団粒構造。嫌気、外は好気。=長時間の作用
食物連鎖=短時間の作業
生物浄化= 短時間の作業 + 長時間の作用 −> 農薬も分解する
太陽
沈澱池 ろ過池
原水 −> 光合成 越流管から浮いてきた藻類排出される
酸素発生
糸状藻類
配水池
−> 戦前は塩素添加無し
現在は塩素ごく微量
−>各家庭へ
でも、日本人は新しい技術が大好き。たとえ未完成な技術でも。
可能性に期待 : 直ぐ宣伝にダマされる。
2
急速ろ過 : 未完成の欠陥処理だから、次から次へと改良が必要。
改良:高度浄水処理、そして膜ろ過。
凝集剤添加 沈澱池 ろ過池 配水池
原水−> 急速混和 −> 緩い混和 −> −> −>
塩素添加は必須 −>各家庭へ
凝集剤(硫酸アルミニウムなど)
沈澱池、ろ過池からは汚泥(凝集剤混じりの産業廃棄物)発生。
汚泥処理して汚泥排出しなければならない。
危険な薬品、高度な機器が必要で、専門技術者が必要。
素人では維持管理できないので、業者に相談する必要。
急速ろ過はろ過効率が良いとは、急速ろ過池だけのこと。
未完成なシステムなので次から次へと改良が必要で、借金・公債が増える。
しかも水道水はおいしくない。
急速ろ過処理への警告
塩素殺菌と発ガン性を指摘、
石綿(アスベスト)管とガン、細菌、ウイルス、重金属、処理後の危険性
急速ろ過への警鐘は、アメリカで1974年のハリスレポート「飲み水は安全か?」とい
うのに、記載されています。
このハリスレポートは、塩素と発ガンの危険性を指摘しただけではありませんでした。
石綿(アスベスト)の水道管の使用は、20年後、30年後にガンになる危険性も指摘して
いました。
厚生労働省は、このレポートを読んでいないかもしれません。クボタ鉄工は、このレポー
トを読んでいたかもしれません。石綿管の製造を1975年から中止しています。
残留塩素濃度基準
(殺菌、安全のため)=アメリカ式急速ろ過の考え
水道法施行規則:給水栓末端で0.1mg/L 以上
快適水質項目目標値:1mg/L
おいしい水の要件:0.4mg/L 以下
EU(欧州):基準無し。塩素は毒が常識。
WHO:5(第2版および第3版ドラフト)、0.6〜1(性状)
USEPA:4mg/L
また、2004年4月から、水質基準は「検出されないこと」となっていた項目が
「大腸菌群」から「大腸菌」になりました。何故かというと「大腸菌群」とした場合、病原
菌ではない土壌由来(善玉菌も)のものが多く、病原菌の指標にはならないことがわかった
からです。
WHOが変更したので、日本も変えざるを得なかったため変えたのです。そして腸管由来
の「大腸菌」が指標になりました。(一般細菌100個/ml以下は変更なし)
そのため、これまで水質検査で飲用不可とされてきた水の7〜8割が飲用可になりまし
た。こういう情報はあまり報道されません。日本では業者に都合のいい情報しか流れないか
らです。
生物浄化法は、生き物が発生しない水ではうまく機能しません。汚い水ほど生物浄化法は
うまくいきます。生き物は何でも食べます。エキノコックスの卵やクリプトも食べられてい
なくなります。緩速ろ過では多様な生き物が住める環境がポイントです。森林や土壌で浄化
された、湧水のような水は無処理でもいいのです。すでに自然が浄化しています。
これまでの残留塩素の基準(水道法)を改正したい
2002年から、日本の水道界の指導者がこれまでの主張(塩素添加必要)と180度違
うことを言い出しました。
水環境学会誌25(8):27−29,2002 特別講演・受賞記念講演
「緩速ろ過で、疫学的にコレラが除けていた:ロンドン、ハンブルグ
戦後米軍の指導で残留塩素保持、常時塩素添加
塩素−>発ガン物質生成、遺伝障害性、クリプト問題
ヨーロッパは残留塩素保持を義務づけていない」
2002.08水環境学会誌
「ヨーロッパ諸国では残留塩素の保持を義務づけしていなく、塩素処理を行っていない水道
事業体も多い。それは、塩素臭を給水栓水で感知されることは、水道利用者からの苦情を招
き、ひいては水道に対する信頼性を低下させることにつながるという認識がある。
当然のことながら、塩素の使用を行わないか、塩素臭を感知しない水道水を供給する水道
が多くなっている。その結果として、水道水の信頼性が回復し、テーブルウォーターとして
水道水が使われるようになっているのである。」
2002.10.31産経新聞 水再考
「私は塩素を使わない水道があっていいと思う。水質への配慮は十分しなくてはいけないが
、水源の状況は各地で違うので一律に残留塩素がなくてはならないとするのはどうか。
コストと安全のバランスは利用者が決める問題では」
用水と排水45(11):1、2003年11月号(今月の話題)
「欧州では、残留塩素を義務づけている国はなく、塩素処理も実施しなくなった水道事業体
が多い。それは、カルキ臭を水道水で感知されることは、需用者から苦情を招き、ひいては
信頼性を低下させると認識があるからである。
欧州では、残留塩素は毒というのが常識。1970年代のトリハロメタン事件以来の認
識。
水道協会雑誌71巻11号(2003年11月号)「浄水技術開発と水道の未来」
(p2−15)という座談会
「オランダの会議にペットボトルでなく、水差しに水道水。スーパーにペットボトルなんか
売っていない。AOC(生物利用可能有機物)を10ug/l以下にしている。
AOCを10ug/l以下に減らすと微生物は栄養源が少なくて増殖できない。AOCゼ
ロなら栄養源が全くないので、微生物は生存できない。従って、塩素消毒も残留塩素も必要
ない。
塩素絶対主義を変えるにはどうか。水道法を変えればよい。皆が声を出すこと。」
このように言い出したのは、膜処理・紫外線処理を勧めたいという、大人の事情があるの
ですが、とにかく残留塩素の改正について、専門誌に載るようになりました。
厚生労働省:2007.05.02
パブリックコメント
塩素酸に係る水質基準等について
これからは水道水を飲めるようになるかもしれません。
水道水の基準に変更があります。いろいろ動きだしました。
厚生労働省は2007年5月2日 水道水質基準項目への塩素酸の追加に関する「水質基
準に関する省令」等の一部改正案に関する意見の募集をしました。
(「塩素酸の上限を0.6mg/lにする」案)
内閣府食品安全委員会から食品健康影響評価の結果として塩素酸の耐容一日摂取量が
2007年3 月15 日付け府食281号で通知されました。(塩素酸の耐容一日摂取量を
30μg/kg/日)
人は、食品よりも、水道水から8割の塩素酸(WHOガイドラインでは酸化力による
赤血球のダメージを重視)を摂取しており、体重50kg のヒトが1日2リットル飲むと
いう仮定で0.6mg/l以下と算定し、今回の案となっています。
塩素酸は殺菌剤(水道水塩素殺菌のための次亜塩素酸ナトリウム)から生じます。
(塩素酸ナトリウムは、雑草の除草剤、分析用試薬、酸化剤、パルプ漂白用二酸化塩素の
原料、ウラン抽出、染色、金属表面処理剤、爆薬、マッチ、花火の材料)
浄水(水道の蛇口)で、塩素酸が0.6mg/lを超えているのが多い。
塩素臭い、カルキ臭いの原因。
その原因が残留塩素基準 0.1mg/l 以上という水道法。
塩素酸は殺菌剤としての次亜塩素酸ソーダを添加するとできる。
また、2007年5月17日には、従属栄養細菌の検査を発表しています。
一般細菌検査(水道水基準 100個/ml以下)では、水中の細菌の一部しか検出できない
という短所があります。
従属栄養細菌検査は、生育に有機物を必要とするより多様な細菌を検出することができる。
このため、浄水処理過程や消毒過程での細菌の挙動、、配水系における塩素の消失や滞留の
状況を評価することに適している(基準 20℃で7日間培養で1mlの水に2,000以下の
コロニー数)。
欧米では、塩素酸は食品からの摂取割合が大きかったのですが、日本で調べたら、水道水
(飲料水)が80%を占めていました。
そこでやっと、塩素の上限を決めるようにと動き出しました。
この基準は、すべての水道水の蛇口の基準になります。
水道の歴史
緩速ろ過(清澄)−> コレラに安全 −> 急速ろ過(+塩素)
−> 塩素化合物 −> 膜の勧め
1804年、スコットランドでジョン=ギブが浄化施設を作る。
1829年、英国のジェームズ=シンプソンが緩速ろ過処理の原型を完成。
1882(明治15)年、凝集剤(硫酸アルミニウム)によって濁りを手早く沈殿させる
薬品を使う急速ろ過が生まれる。米国。
1887(明治20)年10月17日、横浜水道完成。
1892(明治25)年、ドイツ。ハンブルグとアルトナでコレラが流行。
アルトナではわずかな大人しか患者が出なかった。
1910(明治43年)、米国、塩素消毒導入。
1912(明治45年)、京都蹴上(急速ろ過施設)稼働。
新技術だからすばらしい技術だと思いこんで導入−>失敗だった。
2006年から、急速ろ過施設をすべて生物浄化へ転換目指す。
1962年(昭和37)、東京玉川浄水場でカシンペック病騒ぎ。
1974年(昭和49)、米国でトリハロメタン発見。
1987年(昭和62)、米ジョージアでクリプトスポリジウム。
1993年(平成 5)、米ミルウォーキーでクリプトスポリジウム。
1996年(平成 9)、日本の越生ででクリプトスポリジウム(塩素耐性の原虫)。
緩速ろ過
物理的ろ過で清透な水、細菌除去ができると考えた
ジェームズ=シンプソンが自然に学んんで完成させた緩速ろ過の施設は、河川水(テムズ
川)を沈殿池と砂ろ過で清澄な水を給水する施設でした。上から下へ流すゆっくり砂ろ過、
砂層表面の削り取りでろ過閉塞回避も開発しています。
当時は、物理的濾過で清澄な水、細菌除去ができると考えられていました(沈殿池と砂層
表面にいる多様な生物群集の活躍によってであることが知られることになるのはまだ先の
話)。1832年当時、水道水源であるテムズ川は、ロンドンでは下水道は発達していまし
たが、まだ汚水処理という思考はなかったため、汚水は工場排水・糞尿は下水道からテムズ
川へ直接流れていました。そのため、テムズの水は怪物スープ(MonsterSoup)
と呼ばれていました。汚水で汚れた真っ黒な汚い水でしたが、緩速ろ過処理すると汚れた水
がおいしく安全な飲み水にできました。バッキンガム宮殿へも給水されています。
当時、世界ではコレラが流行していましたが、緩速ろ過の水なら罹患しない、大丈夫だと
評判になりました(仕組みはまだ不明でした)。日本でも開国により幕末から明治初期に
コレラが大流行しています。1883(明治12)年には、英国人パルマーに横浜水道設計
依頼し、1887(明治20)年10月17日給水が開始されています。
アルトナでは大人しか患者が出ない
1892(明治25)年、ドイツ。ハンブルグとアルトナでコレラが流行しました。
両市は同じエルベ川の水を取水し市民に水道水として供給していました。アルトナは緩速ろ
過施設が完成していましたが、ハンブルグは未完成でした。ハンブルグでは大量のコレラ患
者と8,605名の死者が出ましたが、アルトナではわずかな大人しか患者が出ませんでし
た。本来なら子供や老人など健康弱者と言われる人が罹るのに意外な結果でした。アルトナ
の大人患者は隣のハンブルグに働きに行きコレラに罹患したと考えられます。
1ml中に一般細菌が100以下ならコレラ患者が出ない
現在の水道水基準も同じ
この事例から、ゆっくりろ過:緩速ろ過ならコレラ(病原)菌は除ける、ことがわかりま
した。ロバート=コッホは「1ml中に一般細菌が100以下ならコレラ患者が出
ない」という基準を示しました。この世界基準は今も使われています。ゼロではありませ
ん。現在の水道水基準も同じです。ゼロは危険だということです(人に悪さをしない細菌ま
で死んでいるということ、生物がいない危険な水)。
生物処理という意識ができたが、物理的な砂ろ過が主と考えた
1893年ベルリンでの緩速ろ過に関する報告です。「砂層表面近くにだけ細菌や汚泥が
存在。冬期は削り取りは深く、夏は藻が繁殖し、削り取り深さは浅かった。Openと
Cover(濾過池に覆い)の20年間の結果を見たら、Openのほうが細菌除去が良か
った。藻が繁殖する時期、水は汚いが、濾過水は清澄。しかし例外かも」と記述されまし
た。Openの方がきれいな水ができる(生物群集の活躍するため)のが知られたのです
が、当時は生物処理という意識はできたが、物理的な処理(砂濾過)が主であると考えられ
ていました。本当は間違いですが。また、1905年には米国人により間違ったことが広め
られました。冬期、凍結時の削り取りに費用がかかるので、凍結防止にろ過池を覆うことが
勧められます。寒い地域は覆いをかけたろ過池がいいと。これも間違いで、寒くても水深が
浅く太陽の光が当たれば、生物は活躍しますのでOpenが正しいのです。ちなみに日本で
も北の地域の濾過池は覆いがあるものが作られてしまいましたが、小樽は英国人が設計した
ため濾過池はOpenで作られています。
砂ろ過 −> 生物群集の働きによる浄化 とわかった = 生物浄化法
生物浄化法:河原の伏流水を人工的に作る仕組み
糸状藻類の連続培養、光合成による酸素生産(気泡の浮力)、濁りの補足
塩素消毒は戦後強制された
こうして、200年前は機械的な物理ろ過と考えられたので「緩速ろ過」と命名されまし
た。しかし、100年後の今、藻の役割、動物の役割が認識され、浄化に生物が関与してい
ることが気づかれ、生物ろ過と認識されるようになりました。
生物浄化法(Ecological PurificationSystem)と名前を
変えないといけません。
ちなみに私は2005年、愛・地球博で(本当の仕組みがわかったということで)「愛・
地球賞」を受賞しました。
生物浄化法(緩速ろ過)に砂の大きさは関係ありません。緩速ろ過用の砂は細かく、急速
ろ過用の砂は粗いのが今までの常識でしたが、生物浄化法(緩速ろ過)であれば、急速ろ過
用の砂(こちらの方が安価)で十分機能します。生物が活躍する砂の空間が重要です。粗い
砂でもOKです。
藻:ゴミ取り装置。藻の間の動物が浄化に重要な役割
生物浄化法と認識することにより、設計思想が変わるんです。今の日本がおかしいという
ことになります。しかし、日本の専門家は知っていても改めたり、直そうとしません。市民
が声を出さない(知らされていない)から。
生物浄化法は、自然の仕組みの上手な活用で、生物の立場になって考えます。
生物群集を取り除いてはいけません。
生物浄化は数分(1〜2分)で清透な水になる
砂層約1〜2cmを通過するだけで、そこにいる生物により浄化される。通過時間は
数分=生物による瞬間浄化です。
生物浄化法の浄水場に汚泥は発生しない。汚泥と思い削るのは間違い。汚泥に見える
ようなものが大事。それが浄化の主体。
生物浄化法の浄水場はは自然任せなので人はいらない
群馬)剣崎浄水場(11,500m3/d)は、100年も現役で稼働。沈澱池だけで台風時の濁
りでも対処してきた。自然任せなので人はいない(3人で管理)。
河川表流水を自然流下で沈澱池へ、薬を使うという考えはない。壊れるところがない。
冬寒くても、太陽光が充分当たるなら、光合成をする藻が繁殖する
高崎市若田浄水場は、水深が深く、光が底に充分届かないろ過池で藻が繁殖しにくかっ
た。
そこで、水深を浅くし、生物活性を高めるよう改良した。
また、今回の講演のため、北海道の苫小牧の緩速ろ過施設を見学し、ろ過池が凍らない
方法を教えたもらった。ろ過池にシャワーをかけて凍らないようにしているとのこと。
これは世界で使える技術だと思った次第です。北海道に来て、寒冷地での生物浄化法の
活用方法を勉強させてもらいました。これで寒冷地での技術指導に役立ちます。
2007年7月8日〜11日
沖縄石垣島へ、浄水場調査
化学屋さんと一緒。
緩速ろ過で、水深は1mもないろ過池の底が見えるか見えないかの茶色の水。
ダム湖の水が大部分。その茶色の腐食物質が除けていた。
砂の上に茶褐色の沈殿物が蓄積:もしかしたら、炭酸カルシュウムの多い地下水と混ぜて
いるからかも知れない。新しい水処理(フミン質による茶色い水の色除去)のアイデアに
なる。
2007年9月5日 広島県、廿日市市浄水場(生物浄化法施設)
調子が良いのに濁度が高い。厚生労働省は、ろ過池毎に濁度計をつけろ、と指導。
濁度は細菌を調べるための間接的な指標。
ろ過水の水を見たら、透明で、問題ない。
溶存酸素が過飽和で、濁度計に汲み上げるときの刺激で細かな気泡になり、濁度として
計測されてしまっていた。
濁度の問題は、急速ろ過限定の問題。
厚生労働省は、生物浄化の仕組みを知らない。
水道協会、厚生労働省が勧めるやり方の水道水はビール会社が使ってくれない
高崎は、なぜおいしい水道水か
日本一おいしく、安い水道:原価35円/トン(10円以下かも)
〜 生物浄化法を導入すれば、世界中どこでも可能である
キリンビール工場で醸造に使用していた。少しでも悪い水道水(塩素入れただけでも)
を供給すると苦情の電話が来た。水道料金は払わないし、請求もしなかった。
しかし、良き水質の監視人だった。
高崎は、PL法施行前からその精神を実行していた。
良い水道水は凝集薬剤を一切使わず、自然に任せるのが一番良いとわかった。
東京都は生物浄化法の原理がわかっていない
ろ過速度が遅すぎる
砧(上)浄水場は原水が多摩川の伏流水:濁りがない:ろ過閉塞しない。
ろ過速度が遅いために酸素不足になり悪い水道水になる。たぶん、2m/d(1日に)だ
ろう。
標準ろ過速度は8.5m/d(砧下は9.5m/dが標準)。英国ロンドンのテムズ水道
では、ろ過速度を10m/dとして、酸素不足にならないようにしている。
ろ過池に塩素を
東京都水道局、砧浄水場では、ろ過池に直接塩素添加する実験
藻の繁殖は悪いこと、腐って酸素消費する、と思い、藻を殺すためにろ過池に塩素を
添加している。
東京都水道局(日本の水道界のリーダー)は、生物処理を見事に誤解している。
英国ロンドンは100%生物浄化法
テムズ川は汚染されているので、貯水池に水を溜めてから、緩速ろ過処理をする。
オゾン処理した後、緩速ろ過。生物の住処として活性炭を使用(何年も取り替えない、洗
わない)。
貯水池では、藻類(アオコなど)が大繁殖するが、粗い砂ろでろ過して仕上げに緩速ろ
過。
ろ過速度は、日本の標準の倍、1日に約9.6mの速度。
ということは、日本では、水温、日射量を考えるともっと速くて良い。
速いろ過速度の方が水質がよい
それは、ろ過池で藻が繁殖し、酸素の日変化が大きくなる。そこで、夜明けの酸素不足を
解消させるためにろ過速度を速くする。
東京都水道局 境浄水場
大正13(1924)年から稼働。1池87m*54mで7万7千人分。これだけの施設
で154万人分の水道水を供給可能。
英国テムズ水道のろ過速度は9.6m/d。それなら1池で15万人分、全部で300万
人分の水道水が供給可能。
パンフレットの写真では、使っていないろ過池が4分の1。使おうとしていない。
ちなみに、ここの水道水は江戸城に配水されています。緩速ろ過処理の水道水は**御用
達ということ。
東京都水道局 朝霞浄水場(高度浄水施設)
高度浄水=急速ろ過+オゾン+活性炭+塩素添加。
ろ過池の上に省電力をアピールするため、太陽電池パネルを設置。でも、発電量は浄水場
で使う電気量の1%程度しかまかなえない。産業廃棄物発生するのでその処理費(焼却処
分)もかかる。
未完成の欠陥処理の急速ろ過を導入し、次から次へと改良。間違えたと素直にいえないか
ら借金地獄、深みに陥っている。東京都は金持ちだからかまわないと思っている。
都市の水道は自治体の負担が少ない。配管コストが安い。(例)ビルの中の配管は、受益
者負担。
ローテクは、自然の仕組みの賢い利用で省エネ
しかし
日本人は新技術、新知識が大好き=可能性に期待、挑戦
でも
新しい最新機器は必ず壊れる
宣伝するのには理由がある
お金の流れを考えるとわかる(大事)
生物浄化法(緩速ろ過)は完成された技術。急速ろ過は未完成。
大学の予算も新しい研究には研究費が出る。確立された技術にはビタ一文支給されない。
中本教授の生物浄化法の研究費はすべて英国。WHOなど海外からの送金。
大学は新しい研究することが主体ではなく、今まで蓄積した技術を後輩に伝えていくこと
が主たる任務であると思っている。だから、研究費が出なくとも、緩速ろ過の研究をしてき
た。それで生物浄化法という仕組みを解明した。日本では評価されないが、世界では評価さ
れ、2005年、愛・地球博で(本当の仕組みがわかったということで)「愛・地球賞」
(持続可能な未来を作る100の地球環境技術)「藻の繁殖に注目した緩速ろ過技術」を
受賞しました。
温暖化対策を主眼にするなら、生物浄化法にすればよい。
ドイツでは、井戸水や人工の伏流水取水による水道水の4〜5割は無処理で塩素添加なし
ドイツ エッセンの隣町、鉄工業で栄えたムルハイムの浄水場では、ルール川(日本の川
より汚れている)の河川水を氾濫原で地下浸透し、取水している。(人工の伏流水)
ドイツでは、井戸水や人工の伏流水取水は水道水の6割。
許容できるリスクを考えよう
安全と危険の明確な境目は存在しない。
大腸菌群は土壌中に多数いる。大腸菌は病原菌でない。
100年前、生物浄化なら1ml中に一般細菌が100以下ならコレラ患者が出ないと
わかる。
2004年4月から、水質基準は「検出されないこと」となっていた項目が「大腸菌群」
から「大腸菌」になりました。何故かというと「大腸菌群」とした場合、病原菌ではない
土壌由来(善玉菌も)のものが多く、病原菌の指標にはならないことがわかったからです。
WHOが変更したので、日本も変えざるを得なかったため変えたのです。そして腸管由来の
「大腸菌」が指標になりました。(一般細菌100個/ml以下は変更なし)
そのため、これまで水質検査で飲用不可とされてきた水の7〜8割が飲用可になりまし
た。
こういう情報はあまり報道されません。
日本では業者に都合のいい情報しか流れないからです。宣伝無いのにも理由がある。
水道料金100円の使い道(2003年度)東京都
半分は施設建設・維持の借入金です。生物浄化法なら、50円でいいということ。
水道法:清浄にして豊富低廉な水の供給、飲み水を供給。
水道局は水道法違反をしているのでは?
強力な酸化剤の塩素を添加するから、地中に埋めてある水道管が錆びたり、腐食したり
します。自然の地下水脈は、何年でも詰まることはありません。
塩素添加しなければ、水道管の寿命は延びるので、コストもかからなくなります。
自然の仕組みの活用をしていたなら、安全で甘い、おいしい水を安く供給できた。
浄水場は飲み水を供給するところ−>飲まれない水を供給
横浜市は明治20(1887)年に英国方式の緩速ろ過処理(生物処理)を導入した。
戦後昭和38(1963)年にアメリカ方式の急速ろ過(薬品処理)に変更した。
塩素臭い水道水は飲まれないので。2003年10月から横浜市水道局は、水源の水を
ペットボトルに詰めて売り出した。自分らで自分らの浄化法を否定した。
よみがえる旧式浄水場
長野県須坂市が、急速ろ過を中止し、緩速ろ過(生物浄化法)を復活させた。
借金地獄からの脱却するため。
厚生労働省「本当にするのか」と問い合わせがあった。
復活させるのは1926(大正15)年に完成した「坂田浄水場」。
長野オリンピックで景気が良かった。
急速な人口増を見込んで、水需要が増えると想定し、古い緩速ろ過では需要に追いつかな
いと思いこみ、豊丘ダムを新設、急速ろ過施設「塩野浄水場」(事業費28億円)を
1996年に新設。
でも、人口はオリンピック終了後、1,100人以上減少。見込みと違った。
30年間の借金は減少しなかった。年間700万円の電気代、薬品代に290万円、
凝集剤入り汚泥を産廃処理するのに120万円。
10年後、急速ろ過施設は壊れだした。泥を集める機械の修理費に420万円。
今後のコストを考えると、急速ろ過を中止し、緩速ろ過(生物浄化法)を復活させた方が
コストはかからないことに気づく。水道料金も安くできる。
80年前の旧式が復活となった。
米国 サンフランシスコ市の英断
水道水を飲むべき
(2007/08/20 水道産業新聞)
業界紙が取り上げる。= 状況に変化の兆し。
2007年06月21日、世界で初めて、市役所及び関係出先機関でのプラスチック
ボトル詰め水の購入を禁止する支庁命令を出した。税金の節約と環境保護が目的。
その命令は、サンフランシスコ市及び関係する郡、出先機関は、今までのボトル水のレン
タル契約破棄、及び新規ボトル水の購入契約禁止。市が主催するいかなるイベントにも適用
される。
ボトル水のコストは水道水と比べ240倍〜10,000倍に達している。
市がボトル水を購入しないことで、ゴミとなるプラスチック容器の運搬や廃棄物処理のコス
トも省ける。カリフォルニアでは毎年10億本以上の容器が埋め立て地に運ばれている。
市の水道水の方がペットボトル水より水質が良いことも決め手になった。
ペットボトルを容認していたら、水道水は良くならない。
声を出そう。葉書を出そう。
基準や法令を守るのではなく、
法令や基準を作る精神(本質)を守らないといけない。
生物の働き:変化させる、集める、希釈する。
研究者のための科学
−> 仲間の研究者しか読まれない学術論文を書き、喜んでも環境は良くならない。
研究者が趣味をしていたら、環境は良くならない。
研究者も社会貢献をしよう。お抱え学者が多すぎる。
熱帯地域で緩速ろ過処理の施設建設に協力した話
インドネシアでヤマハ発 動機(株)が社会貢献で住民のために緩速ろ過施設をつくり、
それに協力しました。
仕組み
水路で藻類と動物を繁殖させ、濁りを取り除く。
水路にブラシ状のヒモ、藻類と動物の住処。
藻:光合成、酸素生産。pH上昇、重金属は水酸化物になり沈殿。
動物:濁り物なら何でも捕捉し、糞塊として沈める。
沈殿槽−>沈殿槽−>沈殿槽−>沈殿槽−>緩速ろ過層−>安全な飲み水
塩素添加していない水を1家族(7〜8人)20リットルを2本、飲み水と調理だけに
使用しました。洗顔やシャワーなどに使用していなかった(するには人数的に量が少ない)
が、下痢や目の病気がなくなり。住民が健康になった。健康村と言われるようになった。
住民が自前で浄化処理プラントを維持管理も行うこともあり、衛生意識が向上し、汚れ
や健康に気をつけるようになった。また、浄化された水を使うことで病気に対して、抵抗
力がついたと考えられています。
2005年フジテレビ「不思議の水1000年の旅」という番組で俳優の辰巳琢郎さん
が、この水を生で飲んでいます。
アジアヒ素ネットワークに協力して、バングラデシュに作った生物浄化プラントの話
をします。
バングラデシュはガンジス川のデルタ地帯にあります。しかしこの川の水は病原菌など
で汚染されやすい水で住民は下痢をしやすかったのです。そこで手軽に井戸水を掘って
病原菌に汚染されにくい地下水を使ってもらおうと、各国の慈善団体などが好意で手押し
ポンプを提供しました。しかしこの水は見た目には清澄な水でしたが低濃度であるものの
ヒ素に汚染されていました。長い間、井戸水を飲んでいたところ、皮膚ガンなどの患者が
出はじめました。ヒ素による慢性中毒でした。
河川水はヒ素に汚染されていませんでした。そこで住民のために安全な飲み水を緩速ろ
過処理でつくることになり、私が協力しました。河川水には農薬も入っていましたが、
生物のお腹の中を何度も通過し分解をさせるのが良いと、何回も緩速ろ過をする仕組みに
してみたところ、難分解性物質である農薬も分解し、その後は通常の緩速ろ過で安全で
おいしい飲み水になりました。繁茂した藻は時々取り除く必要がありますが、この藻は
畑の肥料になります。また、熱帯なので生物活動が盛んなため(浄化も早い)、ろ過速度
を早くしました。
最後に塩素を添加することになっていますが、実際は、添加していないようです。
塩素添加をするというのは、急速ろ過処理では病原菌除去が不完全なので必要な処理であ
り、生物処理には必要ない処理です。生物浄化法では、生物が繁殖するために有機物が
ほとんど消費されてしまうので余り心配ないのです。
アフリカのナイジェリアからも問い合わせがあり、生物浄化法施設の助言をしました。
発展途上国の農業支援をしているオイスカが神田川(杉並区永福町)の水を取水し、緩速
ろ過装置の実験をし、飲用可の水ができました。
濁り対策に上向き粗ろ過を工夫しました(濁り除去、物理除去、生物による除去)。藻類
を繁殖させたほうが砂層が詰まらない(動物により濁り捕捉)のです。
(仕組み 藻類−>動物繁殖:補食:捕捉:糞塊:団粒構造)
神田川の汚れた水でも、この装置で細菌(大腸菌)、鉛、農薬(アトラジン、シマジン)
も検出されない、硝酸性窒素2.00mg/l、亜硝酸性窒素0mg/l、pH8.5、
総硬度250mg/l、全残留塩素0mg/l の水ができました。
今回北海道に来るにあたり、小樽、函館、苫小牧の緩速ろ過浄水施設を見ることができま
した。大変役に立ちました。
函館 赤川浄水場
明治22(1889)年に浄水場が稼働。行ってみたら配水池がオープンで、川の水を
配水池に溜めて配る単純な米国方式。= 何も問題なかった。
大正10(1921)年以降、浄化施設を増設。
苫小牧
ろ過池はオープン。「池が凍らないか」訪ねたら、冬期はろ過池にシャワーをかけて、
対策していた。なるほど、と思った。ろ過の砂は急速ろ過用の粗い砂。
予算がないから知恵を絞った。それが良い結果を生んだ。
小樽
軍港。良い水必要。北の地域のろ過池は覆いがあるものが作られてしまいますが、
1914(大正3)年に英国人技師バルトンが設計した緩速ろ過処理施設で、ろ過池が
その当時のまま(池の壁が階段状で水圧に強い構造)で今も現役で使われています。
2007年のJICA(国際協力機構)の国際研修では、間違った緩速ろ過の仕方を
している失敗例を見てもらって、「何故、うまく水道水にならないのか」を世界各国から
来ている研修生に理解させた。失敗例を見てもらうのが一番理解しやすい。
上田市染屋浄水場(河川表流水で、濁り水のとき、凝集剤使用)、
上田市丸子町腰越浄水場(河川表流水で濁り対策と藻対策で薬を使う)。
2008年は、良い例として、長期間滞在してもらって、北海道の小樽と苫小牧の
生物浄化法(緩速ろ過)処理施設をじっくり観察するプログラムを組むことにしました。
小樽で少しゆっくりし、小樽が北海道の中心であったのに気づきました。
だから、天神浄水場ができたのかと悟りました。
JICAの研修で小樽でもするのが意義があります。
本日は機会をつくって下さり、本当にありがとうございます。
北海道に行くたびに、新しい発見があり、勉強になります。
2008年3月で、定年退職になります。
4月以降は、NPO法人「地域水道支援センター」
http://www.lwwsc.or.jp/
の理事長として活躍する予定です。
地域に根ざし地域の人々を中心に、地域の自立と発展のための水道事業を支援する目的
で、有志が集い2006年11月に設立しました。
個人・法人・自治組織・水道事業体などが安価で安心、高品質な飲料水を提供することを
支援する目的で活動する団体です。
特に中小規模水道や簡易水道に対する技術上あるいは経営上のコンサルティング業務を
行なっていきます。
Q&A
〜 〈国土交通省〉パブリックコメント
下水道政策研究委員会流域管理小委員会の報告書(案)「水・物質循環系の健全化に
向けた流域管理のあり方について」に対する意見募集について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=155070410&OBJCD=&GROUP
「(略)また、わが国は、世界に誇れる高度な水処理等の技術を有しており、これらを
水問題の深刻化に悩む世界各国で活用することにより、水問題の解決に貢献することが
可能である。例えば、省スペースで高度な処理水を得られる膜処理技術は、世界シェア
の5割を日本のメーカーが占めている。
特に乾燥国においては水供給が逼迫しつつある中で、人口の都市集中による下水排水は
増加しており、下水再生水の農業用水としての利用は重要な課題となっているが、この分野
においても、わが国は大いに活躍することができよう。」
というのがあります。
ということは、高度処理の水道水への使用から見切りをつけて、中水、下水向けに特化
した営業姿勢に転換するというこなのでしょうか。急速ろ過の詐欺商法がバレだしたから、
逃げる準備でしょうか。そうであるなら、生物浄化法が躍進できる機会が増えるかもしれ
ませんが、どうなのでしょう? 〜
コメント、ニヤッとしてしまいました。
でも、そんな高い水を利用できる人は、本当に少ない人びとです。