角膜網膜電位(眼球は角膜がプラスに網膜がマイナスに荷電)を計測する眼振計は古くから医療の分野で使われているが、 最近の非医療向けの製品だとJINS MEME ES等がある。 生データを取得できる研究専用モデル(JINS MEME ESR)もあり、 SDKで加速度センサとジャイロセンサとEOGの値が取得できる。 SDKを使って自分でソフトを作るので無ければ、データ取得には別途シリアル番号を購入する必要のある専用のソフトが必要である。 計測内容を考えると、回路としては、そんなに込み入ったものではなく、STMicroelectronics等の加速度・ジャイロセンサと計装アンプ数個とオペンアプ数個のフィルタと Nordic nRF51822のようなBluetooth LEのモジュールとバッテリがあれば十分で、 開発費用はほぼ人件費になるから、基板と金型がそのまま中国等でコピーされてしまうと、費用が回収出来なくなる可能性があるかもしれない。
Bluetooth LEは速度的に、数100Hz-数kHz程度のサンプリング周波数までは対応できると思われ、眼振計の場合は、数十Hz程度のLPFを入れるだろう。 眼振計で一番問題になるのはオフセットで、電極が電池になって電位が載ってしまう問題がつきまとうため、実際の臨床の検査ではDCからの計測は行わないことが多い。 JINS MEME ESRのサンプル生データを見る限り、アンプのドリフトなのか、DCカットしているのかはっきりとは判別できないが、おそらくDCカットしているが、 回路設計のせいでドリフトが載っていて基線がふらついていると思われる。臨床等への応用にはそれなりの注意が必要と思われる。 特に、時定数等はJISで正確に定められており、従来のデータとどの程度相関するかの評価は必要だろう。 最近流行っている高速サンプリングによるhead impulse testでの解析でも、 変位速度についてはフィルタに関して相応の注意が必要だろう。
比較的昔のRIONの眼振計で、現在ではディスコンの部品ばかりであるが、基本的な構成は変わらないのでまず挙げてみる。上記JINS MEMEも基本的に同様の回路だろう。 FET(2SK18A)による差動増幅と古典的な741オペアンプを組み合わせた入力高インピーダンスの差動増幅回路で、 それ以外のフィルタ回路については、アイソレーションされた本体側に入っている。本体側までは分解する機会がなかったので挙げていないが、アナログのペンレコーダと一体化した機器になっている。 フィルタについては、一般的にはSallen Keyによる回路が使われることが多いと思われる。 2SK15は定電流用の素子で、初段の電源は12Vツエナーダイオードで生成されている。
もう一つ挙げる機種は、海外製(ICS medical社)の眼振計で、こちらはISAボードにすべて回路が乗っている。回路の詳細は調べていないが、凝った内容ではないようである。 写真ではICの型番が光って見えないが、電極からの入力は、別基板による最低限のダイオード・抵抗による保護回路の後、直接計装アンプ(INA114)に入力され、 フィルタ回路をいくつか通ってマルチプレクサ(DG408)による切り替えでのADC(ADS7807)でのAD変換となる。 脳波計と異なり比較的低い周波数のみの処理なので、回路的にはあまり込み入ったことをする必要はない。 アイソレーションは、電源は小型トランスをMOSFETのスイッチで駆動して伝送し、LM317/LM337で正負電圧を生成する。信号はフォトカプラで定型通りである。 フィルタ回路にはAD712が多用されている。計測用機器のいく種類かでAD712が多用されているのを見たことがあり、JFET入力でオフセットやドリフトが少なく計測用に安心して使用できるオペアンプとして比較的良い品種と思われる。
フィルタ回路には入力バイアス電流が小さいJFETオペアンプ品種が良く、JFET入力オペアンプは、TL061(低消費電力)/TL071(TL072)/TL081(TL082)が比較的入手容易で、 TL071/TL081については、TIのデータシートをみる限り、現在はほぼ同じ品種とみて良さそうである。他の古典的な品種で言えばLF356(容量負荷に強い)があるが、 TL系も含めオフセットが5mV前後あるので、実際の計測用の回路で使用するとなると、オフセットがトリミングしてあって0.5mV前後となっているLF411(LF412)あたりか、 さらにオフセットが小さくその他のパラメータも良い上位品種としてAD712が選ばれるのだろう。最近だとR2R入出力品種がかなり多く販売されているが、JFET入力品種数は意外に少なく、現在でも同じような品種を選ぶことが多いかもしれない。
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