初級みでぃ講座

第参回

あんさんぶるな話


MIDIのベーシックなからくりを、この講座の第壱回、第弐回で説明した。しかーし!音を鳴らしたり、止めたりするだけがMIDIじゃない。MIDIが演奏の情報をやりとりする「お約束」じゃと説明したが、音楽というそーとー複雑なしろものを記録し、再現するには、もっといろんな「お約束」が必要なんじゃ。 おやくそく

音楽といっても、いろんなのがある。長屋の熊吉は「じゃず」が好きじゃし、横町のみよちゃんは「へびめた」に狂い、たばこ屋のおヨネばあさんは、「バッハ」命じゃったりする。ま、それぞれのジャンルでいろんな楽器が使われとる。それぞれのジャンルの「らしさ」は、音楽的な構造はもちろんじゃが、どんな楽器を使うかでもけっこーきまったりする。
がっき

メロディーだけでも、もちろん音楽じゃが、リズム、ハーモニーをいろいろやってみることで、音楽はより多彩に、豊かになってゆく。いろんな楽器をみなで演奏すれば、より楽しくなる。「合奏」「アンサンブル」っちゅうやつじゃな。

初期に世に出たシンセサイザーは、ほとんど単音しか出なかった。じゃが、デジタルな技術が進み、安くその技術が使えるようになると、たくさんの音を、同時に鳴らせるようになってきた。シンセサイザーのカタログを見ると、「同時発音数」という項目があったりする。これがいっぺんに鳴らせる音数のことじゃ。


おとがず

また、シンセサイザーの発展の歴史(といってもほんの数十年じゃが)は、楽器の万能選手になるための歴史じゃった。たった一台の楽器で、どれくらいほんものの楽器に近い音色が出せるか、あるいは現実には存在しないような音色がどれくらい創れるか。んで今や、お手頃値段のシンセサイザーでも数百〜1000種類くらいの音色で、音楽を奏でられるよーになっとる。

おんしょく

さらに、同時に複数の音色が再生できる機能(マルチパート)も開発された。同時に複数の音色で、たくさんの音数を鳴らせる、ということは一台のシンセで「アンサンブル」な音楽を再生できる、ちゅうことなわけじゃ。

生楽器で同じことをやろうとすれば、スタジオ代がかかるし、メンバーは腹が痛くて弾けなかったりするしでたいへんだったりするんじゃが・・・。 あんさんぶる
あんさんぶる 第弐章で説明したよーに、シーケンサーと組み合わせれば、各楽器の演奏をそれぞれ記録し、再生することで、たった一人でも「アンサンブル」できてしまう。間違えたら何度でもやり直しできるし、アレンジに凝ったりするのも体力と時間の許す限り何度でもできるわけじゃ。

さてマルチパートな音源でアンサンブルな曲の演奏情報を記録したとする。で、各楽器の演奏を記録するのと一緒に、なんの「音色」を使ったかも、一緒にシーケンサーに記録できると、後で再生する時、人に渡して聞いてもらう時、インターネットで公開する時、とってもつごーよいことになる。

そこで役に立つのが、「プログラムチェンジ」とゆーMIDI情報なのじゃ。シンセサイザーは、たいてい「何番目に何の音色」みたいに音色の管理をしとるから、その「何番目」を記録するわけじゃ。シーケンサーから、記録された音色の番号がシンセサイザーに送られると、シンセサイザーが、その番号に対応した音色に切り替わるわけじゃ。(MIDI規格にはこれ以外にもいろいろ、音源をコントロールする情報が用意されとるが、それはおいおいじゃ)

ぷろぐらむちぇんじ

しかしこの「プログラムチェンジ」。うまく使わないと大変な不幸が起きることがある。悲しい物語がここにあるんじゃ。次章、ハンカチを用意して読むべし。

つづく


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