初級みでぃ講座

「初級MIDI講座」第五回

悲しき音色〜その2



ぷおぷお 森で出会った若者ぱおぱおに、突然渡されたフロッピー。ぷおぷおは、わけがわからなかった。

部屋に帰ったぱおぱお。どきどきは、まだおさまらない。こんな気持ちは生まれてはじめてじゃった。
とにかく気持ちを落ち着かせようと、作った曲をもう一度聞くことにした。

聞いているうちに、とてもせつなくなってきた。せつなさで、目頭があつくなり、涙がこぼれてきた。果たして、彼の思いはぷおぷおに伝わるのか!?

ぱおぱお

ふろっぴい 家に帰ったぷおぷお。
大作曲家の父親パオーンに、フロッピーを見せ、森で会ったぱおぱおの話をした。

「ふむふむ、これはMIDIのデータのようじゃ。わしの持っておるシステムで再生してみよう」

「な、なんじゃこりゃあ!」

スピーカーから流れた音楽は、めちゃくちゃだった。とても厳格で、イメージにしびあーな大作曲家パオーンは、火のように怒った!

「こんなしろものを曲といつわり、愛する我が娘をまどわそうとするなど不届き千万!ぷおぷお、二度とこの男を相手にしちゃいかん!明日から森へ出かけてはならんぞ!!」

げきど

しおしお もう、森にぷおぷおがあらわれることは無かった。

せつなさに胸がつぶれそうになりながら、ぱおぱおは来る日も来る日も、ぷおぷおを思って曲をつくり続けた。

ああ、この悲劇!なぜこんなことになったのか。

それは、ぱおぱおも、パオーン
プログラムチェンジ情報GM規格を知らなかったからじゃ。
じいえむ

プログラムチェンジ情報は音色を指定する情報じゃ。MIDIで曲を作るとき、MU2000などのシンセサイザーモジュールを使うとしよう。ちっこいくせに、このMU2000は64パートの機能をもっとる。64台分のシンセサイザーが中に入っていて、それぞれ違う楽器の音色で鳴らせるということじゃ。
MU2000
たとえば1パートではピアノの音色を、2パートではベースの音色を、3パートではフルートでメロディを、10パートではドラムを、といったぐあいにじゃ。

しかぁし!何も指定せずに使うと、思った音色にはならん。音色を指定してやらなきゃいかんわけじゃ。で、MU2000には表のパネルにボタンがいくつか用意されておる。このボタンを操作して音色を変えることが出来る。で、1パートをピアノにして、2パートを・・・。そう、これで思っていた音色の組み合わせになる・・・・。と、思ったら、あ、あまーい!!

この方法じゃと、作った曲のデータを他の人に聞いてもらうには、同じ作業をその人にしてもらわなきゃいけなくなる。それじゃ具合が悪い。そこでMIDIデータの中に音色指定の情報を入れておいてやる。
それがプログラムチェンジ情報なわけじゃ。
では、これを入れておいてやれば、ぱおぱおのような悲劇は起こらなかったか?

じいえむ

残念ながらそー世の中は甘くない!「プログラムチェンジ情報」は音源の中での音色の順番で指定するだけじゃ。「フルートの音色」と指定するわけではなく、「74番目の音色」というふうに指定するわけじゃ。もし、74番目の音色が「フルート」じゃなくヘビメタ系の「エレキギター」じゃったら・・・。そう、ぱおぱおのような悲劇は起こってしまう。(音色の順番は今でもメーカーやシンセによって異なることの方が多い)

じいえむ そこで!ヤマハをはじめとする、愛にあふれたMIDI楽器製造会社が集まり、ぱおぱおのような悲劇を無くそうと音色の順番をある程度決めることにした。

それがGM規格じゃ!
GMのマークが付いている音源であれば、メーカーが違ってもいちおー音色の配列をそろえてある。GM規格に準じた音源を使い、ちゃんと「プログラムチェンジ情報」音色を指定して作られた曲のMIDIデータは、GM規格の音源を使って再生する限り大きくイメージが損なわれることは無くなったわけじゃ。(ソフトシンセサイザーS-YXG50、S-YG20もGMに準拠している)

そう、インターネット上で出回っておる大半のMIDIデータは、GMの音色配列にのっとって作られとる。

ところが1994年、このGMをずっぽり飲み込んだ、とんでもないフォーマットがYAMAHAから発表されたん。

それはXGじゃ!

えっくすじい


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